2021年10月4日月曜日

人生の大きな選択をするための最も重要な道具とは?


アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏が2005年6月12日に行った、スタンフォード大学の卒業式でのスピーチは人々を感動させる名スピーチとして有名になりました

その中で語られた彼のテーマはおもに以下の三つの事でした

  • 「点と点を繋ぐ」
  • 「愛と敗北」
  • 「死について」

これらについて意訳しながら紹介していきたいと思います

まずは、点と点をつなげる、という話です

ジョブズは彼の生い立ちについてまずは話をします

生みの親が育てる事が出来ずに、養子に出されたこと

養子に出すにあたっては、この子(ジョブズ)を大学まで行かせることを条件にサインした事

ジョブズを生んだ母親は、彼を大学まで進学させたいと願っていて、育ての両親もその意向を忠実に守ろうとしていました

ですが大学は学費がとても高く、裕福とは言えない家庭に育ったジョブズは、これ以上負担をかけさせてくないと、大学を中退します

しかし、中退しても学ぶことを放棄したのではなく、こっそりと教室に侵入しては、好きな授業の講義を受けていたそうです

特に印象に残ったのが、カリグラフという、英語を綺麗に書く教室だったそうです

日本で言えば書道教室のような授業でしょう

たしかに授業は楽しかったのですが、それが当時のジョブズには、役立つものだとは思わなかったそうです

いくら綺麗な文字を書けたとしても、それが将来の職業に有益に働くとは思ってもみなかったわけです

しかし、ジョブズがその十年後にマッキントッシュというパソコンを開発する時に、当時習っていたカリグラフの事が急に思い出されたそうです

そして開発中のパソコンに、カリグラフで学んだことを反映させ、綺麗な字体(フォント)や行間を変える機能を搭載させました

マッキントッシュはデザインの美しさにもこだわり、それは内部の基盤にまで及んだと言います

技術者が内部は見えないからいいじゃないかと言っても、ジョブズはこだわりを捨てず、細部にまで美しさを求めました

そうした所が、熱狂的なアップルファンを生み出している秘訣なのだと思います

話を元に戻しますが、このように過去の経験が、未来に役立つことがあります

ジョブズの場合には、将来は役立たないだろうと思って受けていたカリグラフの授業が、実はパソコン開発に大いにヒントをもたらしたのです

しかし、過去の自分には、将来は点と点が繋がっていく事を分かりません

自分の未来に点が繋がっていく事を信じなければならないと言います

それをジョブズの言葉を翻訳して伝えます

「もし私が大学のあの講義に参加していなかったら、Macにマルチタイプフェイスやプロポーショナルスペースのフォントが搭載されることはなかったでしょう。(中略)もし私が退学していなければ、このカリグラフィーの授業にも参加していなかったでしょうし、パソコンにはあのような素晴らしいタイポグラフィは存在しなかったかもしれません。もちろん、大学時代に前を向いて点と点を結ぶことは不可能でした。しかし、10年後に振り返ってみると、非常によくわかりました。

繰り返しになりますが、前を向いて点をつなぐことはできず、後ろを向いて点をつなぐことしかできません。だから、自分の未来に点がつながることを信じるしかないのです。自分の直感、運命、人生、カルマなど、何かを信じなければなりません。この方法は私を失望させたことはありませんし、私の人生に大きな違いをもたらしました。」


2つ目のテーマとしてジョブズは「愛と敗北」について語ります

ジョブズは当時としては画期的なパーソナルコンピューターであるマッキントッシュ(通称MAC)を開発し、成功を収めるのですが、30歳の時には、役員での対立によって、会社を追われる事となります

自分が立ちあげた会社からクビを言い渡され、解雇されえてしまったのです

心血を注いで開発したMACも、人の手に渡ってしまいました

その時はさすがのジョブズも非常に深く落ち込んだと言います

一か月くらいは茫然として過ごしたそうです

しかし、ジョブズはこれで終わる人物ではなく、その後に、NeXTという会社を起業し、ピクサーも立ち上げました

ピクサーはご存知の方も多いかと思いますがアニメ映画の「トイ・ストーリー」を製作し、大成功した会社です

アップルを追われた彼は、また新たな挑戦をし、見事に成功を収めたのです

さらに彼はこの時期に妻になるすばらしい女性と巡り合えたのだそうです

そしてジョブズは彼の去った後、経営の危機に陥っていたアップルに返り咲く事となります

一度は追い出された身ですが、その経営手腕を買われて、また自分の立ち上げたアップルに舞い戻る事が出来たのです

そして音楽プレーヤーのiTunesを成功させ、さらにあのiPhoneを生み出し、世の中を変えていきます

当時の事を振り返ってジョブズは以下のように話しています

「そのときは気づかなかったが、アップル社をクビになったことは、私にとって最高の出来事だったのだ。成功したときの重苦しさが、すべてに自信のない初心者に戻ったときの軽やかさに変わったのです。そのおかげで、私は人生で最もクリエイティブな時期を迎えることができました。

もし、私がアップル社を解雇されていなかったら、このようなことは起こらなかったと思います。それはひどい薬の味でしたが、患者には必要だったのでしょう。」

また、この事から教訓として聞いている大学生の皆さんにこう訴えました

「人生にはレンガで頭を殴られることがあります。信念を失わないでください。私が続けてこられたのは、自分の仕事を愛していたからだと確信しています。自分の好きなことを見つけなければなりません。そしてそれは、あなたの仕事に対しても、あなたの恋人に対しても同じです。仕事は人生の大部分を占めるものですから、本当に満足するためには、自分が素晴らしいと思う仕事をするしかありません。そして、素晴らしい仕事をするための唯一の方法は、自分の仕事を愛することです。まだ見つけていないのであれば、探し続けてください。妥協しないで。すべての心の問題と同じように、それを見つけたときにわかるでしょう。そして、どんな素晴らしい関係でも、年を重ねるごとにどんどん良くなっていくものです。だから、見つかるまで探し続けてください。妥協しないで。」


ジョブズ氏の3つ目の話のテーマは「死について」です

彼が日本のことわざで言えば、「一日一生」という言葉の真理を皆さんにお伝えしています

この時の話を、ジョブズの言葉で最後は紹介して終わります


「私が17歳のときに読んだ言葉にこんなものがあります。"一日一日を最後の日のように生きれば、いつの日か必ずその通りになる"。その言葉が印象に残っていて、それ以来33年間、毎朝鏡を見て自分に問いかけています。『今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいだろうか』と。そして、その答えが何日も連続して "No "であったとき、私は何かを変えなければならないと思うのです。

自分がもうすぐ死ぬということを覚えておくことは、人生の大きな選択をするための最も重要な道具となるでしょう。なぜなら、外部からの期待、プライド、恥ずかしい思いや失敗への恐れなど、ほとんどすべてのものが、死の前には崩れ去り、本当に大切なものだけが残るからです。自分が死ぬということを覚えておくことは、失うものがあると考える罠を避けるための私の知る限り最高の方法です。あなたはすでに裸です。自分の心に従わない理由はありません。(中略)

死にたい人はいません。天国に行きたいと思っている人でさえ、そこに行くために死ぬことを望んでいません。しかし、死は私たち全員が共有する目的地です。誰もそれから逃れたことはない。なぜなら、死はおそらく人生の唯一の最高の発明だからです。それは人生の変化をもたらすものです。死は古いものを取り除き、新しいものへの道を開く。今は新しいものがあなたですが、そう遠くないいつか、あなたは徐々に古いものになり、一掃されるでしょう。大げさな言い方で申し訳ありませんが、これは本当のことです。

あなたの時間は限られているのだから、他人の人生を生きることで無駄にしないでほしい。ドグマ(他人の考えた結果に合わせて生きること)に囚われてはいけません。他人の意見に惑わされて、自分の心の声をかき消さないようにしましょう。そして何よりも大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなたが本当になりたいものを、彼らはなぜかすでに知っています。他のことは二の次です。」

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3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「死の発明」、素晴らしいです。
神の発明のひとつですね。
他にも、引力、重力、時間、これらも神の発明だと思います。

匿名 さんのコメント...

ああ、ジョブズが生きていたら…

匿名 さんのコメント...

素晴らしいです。

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