2018年12月3日月曜日

カルロス・ゴーン氏の経営能力は?


先日逮捕されたカルロス・ゴーンさんについて、日本人の首を切っただけで、それで経営を回復させただけという低評価な意見もあります



たしかに彼は冷酷に赤字工場を閉鎖させたり、人員の削減をしてきました

それだけ見れば、経営は実に簡単なように見えます

ただ赤字の部分を削減すればよいのだとすれば、会社の経営も簡単でしょう

ですが実際にはそう簡単にはいかないものです

たとえば日本ではバブル崩壊後から、色んな会社でリストラと称して余剰人員の削減や事業の廃止が行われてきました

欧米流の短期間で数字を出すために、コストカットを行った会社には、短期では成果が出たように見えても、長期的には低迷させる結果となったところも多かったでしょう

人員の削減をしてきた中には優秀な人材もいて、それが日本企業から離れて外国企業に流れていったことで、外国企業に押されるようになってきたという面もあるでしょう

また採算の合わない新規事業を取りやめて、それで当面は黒字になっていたとしても、将来の発展の目を積んでしまっていることもあり、どんどんと業績が落ちていくという事もあります

そのように、単にコストカットすればよいというものではなく、本当に削減すべきものと、残しておくべきものとの、その見極めが実に大変であり、大切なのです

経営の才能の無い人が、見極める力も無くてコストカットしていったら、その会社はじり貧になっていき衰退していきます

以前もJALが赤字で経営危機に瀕していた時、京セラの稲盛会長がその再建に力を砕きました

大幅なコストカットを断行して、見事に立て直しましたが、それは稲盛さんだからであって、単に削減すればよいというものではありません

削減した結果、サービスも低迷していき、客離れを招いてしまう恐れもあったのです

そこら辺のさじ加減も難しいものでしょう

ですので経営能力が優れていなければ、赤字企業の再建は難しいものです

悪い例で特定の会社を出すのは問題がありますので、かつての民主党政権を例にとります

民主党時代には事業仕分けといって、不要なものを削減しようとパフォーマンスのように行われていました

その中で宇宙事業のJAXAや、スーパーコンピュータの開発や、災害対策もありました

こうしたものはすぐには利益が見えてこないため、削減の対象に選ばれたのでしょうが、私はするべきでないと当時述べていました

宇宙事業や最先端技術は、すぐには利益を出さないでしょうが、将来的に日本の発展のために不可欠なものです

それを赤字だからと言ってコストカットしていては、日本の将来は低迷していくのが目に見えていました

そして災害関連も削減しようとしていましたが、その後に東日本大震災がおこりました

それを見て防災対策の必要性がようやくわかったでしょう

安心や安全を確保することで、豊かさは貯えられてくるのです

いつ災害で全部流されてしまうか?と思っていては、安心していられません

このように民主党政権が続いて、間違ったコストカットが続いていれば、日本もどんどん没落していったことでしょう

ですので何でもかんでも切れば良いというものではなく、その見極めにこそ才能が必要です

ゴーン氏や稲盛氏は、そうした見極める力、経営能力があったからこそ、企業を再建でき、回復させることが出来たのです

コストカット能力が高いからと言って、かつての民主党の政治家に再建させたら、いまごろはJALも日産も潰れていたかも知れません

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5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ゴーン氏を批判している人たちの大部分は経営などしたことがない人たちでしょう。自営業でも経営は大変です。ビッグビジネスならなおさらでしょう。ゴーン氏の経営者としての能力は、その後の日産の躍進ぶりが示していると思います。

匿名 さんのコメント...

登山家?冒険家?の、三浦雄一郎さんが、86歳で登山に挑戦するそうです。この方は、山の神様に加護されているような感じを受けます。
前世など取り上げて頂きたいです。

匿名 さんのコメント...

ニュース番組の司会者もコメーテータも皆こぞってコストカッターとばかり評していますね。
記事を読んで、たしかにコストカットは再建技術の一部分でしかないと改めて感じましたし、メディアはゴーン氏の力を過少に錯覚させるための意図があると感じました。

hara さんのコメント...

面白いというか巡り合わせの不思議というか、あの小沢一郎がいたから、稲盛氏に白羽の矢が立ち、また、引き受けたというところですね。

匿名 さんのコメント...

水道法、種子法について書いていただけませんか。日本国民の命を握っていると思われるのですが、まったく報道されずに危機感がないように思われます。

今後のコメントは X(旧Twitter)にてお待ちしております。