ある政治家を救世主のように崇め、そのすべてを賞賛する一方で、別の政治家には激しい敵意を燃やし、一挙手一投足を非難する。
SNSを始めとする現代社会では、このような政治家への「オールオナッシング」とも言える極端な思考がますます顕著になっています。
なぜ私たちは、一人の人間である政治家に対し、これほどまでに「完璧な善」と「絶対的な悪」という二極化した見方をしてしまうのでしょうか。
その背景には、ユング心理学の「投影」や、私たちの誰もが持つ認知の「クセ」が複雑に絡み合っています。
この記事では、その深層心理を解き明かし、極端な思考から脱却して物事の真実を見つめることの重要性を探ります。
1. 心が映し出す「理想」と「影」:ユング心理学の投影
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した「投影」は、自分自身の内面にある要素を、自分以外の他者に映し出し、その他者がその性質を持っているかのように認識する心の働きです。
これには、大きく分けて二つの側面があります。
「影(シャドウ)」の投影:なぜあの政治家が許せないのか
「シャドウ」とは、自分自身が認めたくない、あるいは意識できていない否定的な側面(権力欲、欺瞞、攻撃性など)が無意識に抑圧されたものです。
特定の政治家に対し、生理的嫌悪感や過剰な怒りを感じる時、私たちはこの「シャドウ」を相手に投影している可能性があります。
相手を「絶対悪」として断罪することで、自分の中の好ましくない部分と向き合うことから逃れ、「私はあの人のようではない」と自己の清廉さを無意識に保とうとするのです。
「聖なるもの」の投影:なぜあの政治家にすべてを託したくなるのか
一方で、投影は否定的な側面だけに限られません。
自分自身の内なる理想、正義感、未開発のポジティブな可能性、あるいは「こうありたい」と願う英雄的な姿を特定の政治家に投影することがあります。
これを「聖なる投影」と呼ぶことができます。
複雑化する社会問題に対する無力感や、自分で考えて決断する責任から逃れたいという願望がある時、私たちは「完璧なリーダー」や「救世主」を外部に求め、その人物を過度に理想化してしまうのです。
2. 極端な思考を加速させる、その他の心理メカニズム
ユングの投影に加え、私たちの認知バイアス(思考の偏り)も、政治家への評価を極端に振れさせる大きな要因となります。
確証バイアス:「信じたいものだけを見る」という罠
確証バイアスとは、自分の既存の信念や仮説を支持する情報ばかりを無意識に探し求め、それに反する情報を無視・軽視する傾向のことです。
ある政治家を「支持する」と一度決めると、その政治家の肯定的なニュースや意見ばかりが目につき、逆に批判的な情報は「偏向報道だ」などと切り捨ててしまいがちです。
このプロセスは、SNSのアルゴリズムによって自分の見たい情報ばかりが表示される「エコーチェンバー現象」によってさらに強化されます。
認知的不協和:「自分の判断は正しかった」と思いたい心理
人は、自分の信念や行動に矛盾が生じると、不快な感情(認知的不協和)を抱きます。
例えば、自分が支持する政治家が不祥事を起こした場合、「支持した自分の判断は間違っていたかもしれない」という不快感が生じます。
この不快感を解消するために、「たいした問題ではない」「裏には何か陰謀があるはずだ」などと解釈を変えたり、より一層その政治家を強く支持したりすることで、自分の判断を正当化しようとします。
内集団・外集団バイアス:「我々の味方」か「彼らという敵」か
私たちは、自分が所属する集団(内集団)のメンバーをひいきし、所属していない集団(外集団)に対しては冷淡になったり、偏見を持ったりする傾向があります。
これが政治の文脈で働くと、「自分の支持政党(内集団)の言うことはすべて正しく、相手の政党(外集団)の言うことはすべて間違っている」という単純な二元論に陥りやすくなります。
外集団のメンバーは皆同じように見え、個々の多様性が見えにくくなるのもこのバイアスの特徴です。
分裂(スプリッティング):「すべて善」か「すべて悪」かの思考
これは、対象を「理想的な善」と「迫害的な悪」のどちらか一方として捉える、原始的な防衛機制です。
人や物事の「良い面」と「悪い面」を併せ持った複雑な存在として統合的に捉えることが難しく、「味方だと思っていた人が少しでも期待に反すると、今度は完全な敵と見なす」といった極端な態度の変化に繋がります。
結論:分断を乗り越え、真実を見つめるために
政治家への極端な評価の背景には、こうした無意識の心理的なメカニズムが働いています。
これらは特別なものではなく、誰もが陥る可能性のある心の働きです。
大切なのは、特定の政治家に対して強い感情(過剰な賛美や激しい嫌悪)を抱いた時に、一度立ち止まって「なぜ自分はこれほど心が揺さぶられるのだろう?」と自問してみることです。
その感情は、相手自身の問題だけでなく、自分の内面にある「影」や「理想」の投影、あるいは認知バイアスによって増幅されているのかもしれません。
いかなる人間も、完璧な聖人でもなければ、完全な悪人でもありません。
政治家の言動を評価する際は、その人格全体を神格化したり断罪したりするのではなく、具体的な政策や行動、その結果を一つひとつ冷静に、是々非々で分析する姿勢が求められます。
自らの心の「クセ」を自覚し、安易な善悪二元論から距離を置くこと。
それこそが、社会の分断を乗り越え、より建設的な対話を可能にし、健全な民主主義を育むための第一歩となるのです。
著書『アースチェンジ——近未来の警告書』では、これから訪れる地球の変革について書いています
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