教皇は雨の降る長崎で演説し、「核兵器のない世界の実現のため、すべての人々が団結し、核兵器の脅威に立ち向かう必要がある」と述べ、そして各国の政治指導者に対し、「核兵器は国家や安全保障の脅威から守ってくれるものではないことを、心に刻んでほしい」と訴えました
長崎を「核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすと、証言している街だ」と表現
各国の軍拡競争について「貴重な資源の無駄遣いであり、本来人間と自然環境の保全に使われるべきものだ」と批判します
国が核兵器を所有する背景に「世界で拡大しつつある相互不信がある」と指摘し「核の理論によって促される不信や敵意の増幅を止めなければならない」と訴えました
フランシスコ教皇は若いころから長崎・広島での原爆被害に心を痛められ、関心が深かったようです
教皇の主張したいことは分かるのですが、これが政治的な内容となると、問題を起こしてしまうかも知れません
教皇は善良な方なのだとは思いますが、その善意を悪意を持った者が利用し、悪用する事が世の中にはあります
たとえば今回は長崎で核兵器廃絶を訴えましたが、日本は被爆国であり、そこで訴えられるのは、被爆国側の日本に、核の所有や利用をやめるような圧力ともなります
すでに核兵器を所有している中国や北朝鮮やロシア、アメリカなど、こうした国が廃絶のために一緒に動くなら分かります
同時に協議して廃絶に動くのが望ましいでしょう
しかし彼らが放棄する考えは持たず、今持っていない国が今後も持ってはならないという縛りになれば、それは核保有国を利するだけになります
つまり世界のために訴えている善良な意見が、悪意を持った核保有国からすれば、自分たちを利するための発言として利用されるわけです
このように、政治の世界では、善良な意見であっても、それを悪意を持った者が利用することがあることを知らなくてはなりません
さらに中国ではキリスト教徒が増えていると言われています
その数は地下にもぐっている人数も加えれば一億人近くいるのではないかと言われています
中国では政府が認めた公認協会があって、そこでは中国共産党の政府が、自分たちに都合の良い司教などを選んで任命しています
一方で地下教会というものもあって、そこでは政府非公認で活動していたのですが、弾圧が激しさを増していました
ローマ・カトリック教会では、中国政府が勝手に決めていた司教を破門にしていたのですが、それを認めるようにし、さらに地下教会も公認教会の下に置くようにしたのです
つまり中国のキリスト教会は、中国共産党の支配下に置かれることとなりました
当然中国内では信徒の反発もあり、「裏切りもの」という批判もあって教会から離れていく者たちも出てきています
中国共産党では基本的に宗教は麻薬であるとする考えを持っており、宗教を危険視しています
ウイグル地区などでも少なくとも100万人以上の普通の人々が、強制収容所に入れられ、彼らの宗教であるイスラム教を否定するような弾圧が行われています
たとえばイスラム教徒の「思想改造」のための強制収容所に入れらた人の証言では、イスラムでは禁じられている豚肉やアルコールの飲食を強制されています
そして習近平のために祈ることと、共産党を称賛する事を強要されます
このように中国共産党は、宗教の弾圧を激しく行っています
キリスト教会でも説教では共産党を称賛するような説を述べないといけなくなっています
ローマ教皇の中国での妥協は、そうした中国の共産党による弾圧を黙認することにもつながります
本当にすべきこととしては、キリスト教も超えて、宗教への弾圧をおこなう者たちへの批判が必要だったのです
いまローマ教皇に必要なのは、中国の信徒たちを見捨てず、中国政府に対して人権弾圧や不当な宗教弾圧をやめるように、世界に向けて発信する事が求められているのです

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