助けられるのは準備の整った人|手を握り返せる時を待つ

2021年4月25日日曜日

人生問題

助けられるのは準備の整った人|手を握り返せる時を待つ

あなたには、助けたいのに助けられない人がいるのではないでしょうか。何度声をかけても届かない家族、変わってほしいのに変わってくれない友人。手を伸ばしているのに、その手はいつも空を切る。そういう思いを抱えて、自分のほうが先に疲れ果ててしまう。今日はそういうあなたに向けて、少しだけ書いてみたいと思います。

霊界からは、こう伝えられています。どれほど困っている人がいても、その人を助けられる機会が訪れるのは、本人が助けを求めていて、しかも助けてもらう準備の整った人だけだと。こちらがどんなに強く望んでも、相手が助けの手を拒んでいるなら、あるいはまだ受け取る準備ができていないなら、助けることはできません。これは冷たい言葉ではありません。むしろ、助けられずに苦しんでいるあなたを、責めから解き放つための言葉なのです。

穴に落ちた人と、差し伸べた手

深い穴に落ちている人がいるとします。あなたは穴のふちに立って、力いっぱい手を差し伸べる。けれども、その人がこちらを見上げず、握り返そうともせず、さらに穴の奥へ向かって進んでいくとき、引き上げることはできません。手を差し伸べる側がどれほど本気でも、落ちている本人が手を握り返さなければ、その人を穴から引き上げることはできません。

これは、助ける側に力がないという話ではありません。助けというものが、もともとそういう仕組みでできているという話です。引き上げる力と、握り返す力。その二つがそろって、はじめて人は穴から上がってきます。あなたの差し伸べた手が無駄だったのではありません。ただ、相手の手がまだ動かなかった。それだけのことなのです。

そして、握り返せないことにも理由があります。穴の暗さに慣れてしまった人、まだ落ちきっていないと感じている人、自分で這い上がると決めている人。その人にはその人の時間が流れています。あなたの時間の速さで、相手をせかすことはできません。

助けたい思いが、執着に変わるとき

何とかこの人を助けたい。その思いそのものは、美しい愛情です。けれども、強くなりすぎたとき、それは少しずつ形を変えていきます。相手のためを思っていたはずが、いつのまにか、自分の思いどおりに相手を動かしたいという願いにすり替わっていく。助けが届かないことが、自分への否定のように感じられて、苦しくなっていく。

こうなると、あなたの愛情はあなた自身を傷つけはじめます。眠れない夜が増え、相手の一挙一動に心が揺れ、会話のたびに落胆する。それは相手のためにもなりません。せかされ、心配され続けた人は、かえって心を閉ざしてしまうものだからです。穴の底にいる人ほど、上から注がれる強い視線を重く感じます。

子どもの生き方が心配な親、立ち直れない友人を案じる人。その焦りを、私はよく知っています。けれど、もしあなたが今そうやって苦しんでいるなら、それは愛が足りないからではなく、愛がいったん執着の入り口に立っているのだと、気づいてあげてください。手放すのではなく、握りしめすぎた手を、少しゆるめるのです。

見守るという、もう一つの助け方

まだ準備の整っていない相手に対して、私たちにできることがあります。それは、暖かく見守ることです。見守るというのは、あきらめることではありません。何もしないことでもありません。準備の整う日が必ず来ると信じて、その日までそばに居続けるという、静かな行いです。

責めないでください。変わらないことを嘆かないでください。ただ、愛情をもってその人を見つめていてください。あなたが落ち着いて見守っているという、そのこと自体が、相手にとっての安心になります。世界のどこかに、自分を信じて待ってくれている人がいる。その感覚が、いつか相手に手を伸ばす勇気を与えるのです。

そして、その人が助けを求める時が来ます。準備が整い、自分から手を伸ばす日が来ます。そのときにあなたがそばにいられるように、今は力を温存しておいてください。求められたなら、差し出された手をしっかりと握り返し、引き上げてあげてください。待っていた時間は、決して無駄ではなかったとわかるはずです。

今日からできること

一つ、今あなたが助けられずにいる人を、一人だけ思い浮かべる。その人が握り返せていないのは、あなたの力不足ではなく、まだその人の時間が来ていないだけだと、自分に言い聞かせてみてください。

二つ、相手をせかす言葉を、今日は一度だけ飲み込む。「どうして変わらないの」と言いたくなったら、その代わりに、ただ相手の話を最後まで聞いてみてください。

三つ、自分の眠りと食事を整える。あなたが消耗していては、求められた日に手を伸ばせません。助けるための力は、まずあなた自身を労ることで蓄えられます。

四つ、相手に小さな信頼を伝える。「あなたなら、きっと大丈夫」と一言だけ。励ますためではなく、待っていると知らせるために。

五つ、夜、その人の幸せを静かに祈る。動かそうとせず、ただその人が穏やかでありますようにと願う。その祈りは、見守るという愛のいちばん深い形です。

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