仏教の開祖であるお釈迦様の言葉に、こんなものがあります。
人が生まれたときには、実に口の中に斧が生じている。愚者は悪口を語って、その斧によって自分を斬るのである。
口の中に斧が生じている。強い表現ですが、言葉が人を傷つける武器になりうることを、これほど鋭く言い当てた言葉もありません。
言葉という斧は、自分をも斬る
人間には、言葉を語る力が与えられています。けれどその力は、口の中に斧を抱えているようなものだ、とお釈迦様は説きました。斧は相手を傷つけます。そして同時に、振るった自分自身をも斬ってしまうのです。
悪口を言った修行僧コーカーリヤ
この言葉には背景があります。お釈迦様の在世中、コーカーリヤという修行僧がいました。彼は教団の二大弟子、シャーリプトラとモッガラーナの悪口を、お釈迦様に告げ口します。けれど逆にたしなめられ、不満を抱えたまま立ち去りました。
まもなく、彼の全身にはブツブツとした腫物ができ、病の苦しみのうちに亡くなったと伝えられます。さらに死後も、暗い世界に堕ちて苦しんだといいます。そのときお釈迦様が説いたのが、先ほどの言葉でした。悪口は、放った本人に返ってくる。そう諭したのです。
ネット時代の「斧」
近年は、匿名で言葉を放てるようになりました。掲示板やSNSに、悪意のある書き込みをする人も増えています。顔が見えないぶん、斧は軽々と振るわれます。
でも、忘れてはいけません。匿名であろうと、その悪念や悪口は、いずれ自分に返ってきます。誰かを刻んだ刃は、めぐって自分の心と運を削っていくのです。見えないところで放った言葉ほど、静かに自分を蝕みます。
斧を、慈しみの言葉に持ち替える
私たちは生まれながらに、人を傷つけ、自分をも傷つけうる斧を持っている。まずそれを自覚することが出発点です。そのうえで、同じ口から出すなら、人を励まし、温める言葉を選んでいきたいものです。優しい言葉もまた、めぐって自分に返ってきます。どちらを返すかは、いつも自分が決められるのです。
悪念や悪口が返ってくる仕組みと、心を守る生き方は生霊・悪霊・憑依から身を守る完全ガイドにもまとめています。
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