そのエンジンとは、ミトコンドリアを中心とした「エネルギー代謝の仕組み」です。
ここで糖や脂肪を燃やし、ATPというエネルギーを作ることで、細胞は働くことができます。
アメリカのトーマス・セイフリード博士は、この「細胞のエンジン」に注目して、がんをまったく違う角度から見直しました。
多くの医学では「がんは遺伝子の病気」と説明されますが、セイフリード博士は、
がんはまず「代謝の病気」、つまりエンジンが壊れた結果として生じているのだ
と考えています。
がん細胞は、ミトコンドリアというエンジンが傷んでいるため、本来なら酸素を使って効率よくエネルギーを作るルートをうまく使えません。
そこで、がん細胞は「非常用のエンジン」に切り替えて生きようとします。
この時、がん細胞が頼りにしているのが
ブドウ糖(グルコース)と、グルタミンというアミノ酸です。
がん細胞は、この二つを大量に取り込み、酸素をあまり使わない「発酵的なルート」でエネルギーを作ります。
PET検査でがんが光るのも、がん細胞がブドウ糖を異常なほど食べているからだとよく説明されますね。
そしてセイフリード博士が強調しているのは、実はもう一つ重要なポイントがあります。
それは、
がん細胞と寄生虫は、「非常用エンジン」の部分でとてもよく似ている
ということです。
寄生虫もまた、低酸素の環境で生き延びるために、酸素に頼らないエネルギーの作り方を発達させています。
その中核にあるのが、ミトコンドリアの中で行われる「基質レベルのリン酸化」という特殊なエネルギー生産ルートです。少し難しい言葉ですが、イメージとしては、
酸素がなくても動かせる、小さな補助エンジン
だと思っていただくとよいでしょう。
セイフリード博士は、がん細胞も寄生虫も、この「酸素を使わない補助エンジン」に強く依存して生きていると考えています。
つまり、「違う生き物と細胞」に見えるのに、深いところでは同じ仕組みに乗っているというわけです。
ここで登場するのが、ミベンダゾールやフェンベンダゾール、そしてイベルメクチンなどの「駆虫薬」です。
これらは本来、寄生虫を殺すために開発された薬ですが、寄生虫のこの「補助エンジン」を止めることで、寄生虫を弱らせていきます。
もし、がん細胞が寄生虫と同じ補助エンジンを使っているならどうでしょうか。
理論的には、
寄生虫のエンジンを止める薬は、がん細胞のエンジンにもダメージを与えうる
ということになります。
実際、ミベンダゾールやフェンベンダゾール、イベルメクチンなどの駆虫薬に、さまざまながん細胞を弱らせる可能性があることが、試験管実験や動物実験のレベルで多数報告されてきています。
私自身も以前から「イベルメクチンががんにも有効ではないか」という話をお伝えしてきましたが、それが単なる偶然や噂ではなく、
セイフリード博士の「がんは代謝の病」「がんと寄生虫は同じエンジンを使っている」という理論によって、理論的に裏付けられつつある
ということが、とても重要な点です。
さらに、セイフリード博士の治療戦略で大きな柱になっているのが、
・糖質を極力減らし、脂質代謝に切り替える「栄養的ケトーシス(ケトン食)」
・断食やカロリー制限による代謝のシフト
などです。
糖を断ってケトーシスに入ると、血糖値とインスリンが下がり、体は脂肪とケトン体を主なエネルギー源として使うようになります。
通常の細胞はケトン体を上手に使えるのですが、がん細胞はミトコンドリアが壊れているため、ケトン体をうまく利用できません。
すると何が起こるかというと、
正常な細胞はケトン体で生きることができるが、がん細胞だけがエネルギー不足に陥る
という状況が生まれます。
ここに、駆虫薬のような「がんと寄生虫の共通エンジンを狙う薬」を重ねることで、
がん細胞に対してさらに強い圧力をかけることができるのではないか、という発想が出てくるわけです。
もちろん、これはまだ研究途上の領域であり、「今すぐ誰でも自己判断で駆虫薬を飲めばよい」という話ではありません。
けれども、
・がん細胞と寄生虫は、代謝の深い部分でよく似ている
・その共通のエンジンを止める薬が、がんに対しても働きうる
という視点は、今後のがん治療を考えるうえで、とても重要なヒントになっていくでしょう。
ここから先は、少し専門的な内容も含めながら、セイフリード博士の理論と駆虫薬・栄養的ケトーシスの関係を、もう一歩踏み込んで見てみます。
〔より詳しい専門的な解説〕
セイフリード博士のがん代謝理論の出発点は、オットー・ワールブルクによる「ワールブルク効果」です。
ワールブルク効果とは、がん細胞が酸素が十分にある条件でも、ミトコンドリア呼吸ではなく解糖系発酵に偏る現象のことです。
通常の細胞は、解糖で生じたピルビン酸をミトコンドリアで完全燃焼させ、多くのATPを得ますが、がん細胞ではこれがうまく機能せず、乳酸発酵に偏っています。
セイフリード博士は、ワールブルク効果を「ミトコンドリアの構造・機能障害の結果」と考え、変異したがん遺伝子そのものではなく、
ミトコンドリアの障害と、それを補うための代謝再編成こそが、がんの本質である
と主張します。
ここで重要になるのが、二つの燃料、グルコースとグルタミンです。
グルコースは解糖系でATPと乳酸を生み、がん細胞を支えます。
一方、グルタミンはミトコンドリア内でグルタミン酸からα‐ケトグルタル酸へと代謝され、TCA回路へ流入します。
セイフリード博士が注目するのは、この流れの中で起こる、
ミトコンドリア内「基質レベルのリン酸化(mitochondrial substrate-level phosphorylation:mSLP)」
です。
mSLPとは、TCA回路中間体からコハク酸CoAリガーゼ(SUCL)などを介して、
ADPからATPを直接生成する反応で、呼吸鎖(電子伝達系)を経由しない「酸素非依存のATP産生ルート」です。
ミトコンドリア呼吸が低下したがん細胞では、このmSLPが重要なエネルギー供給源として働いていると博士は考えています。
つまり、がん細胞は単に解糖発酵に依存しているだけでなく、グルタミン代謝に基づくミトコンドリア内のmSLPという「第2の発酵的エンジン」をもっている、というイメージです。
ここで、寄生虫との類似性が浮かび上がってきます。
多くの寄生虫は、低酸素環境でも生存できるよう、
ミトコンドリアの呼吸鎖機能を大幅に縮小し、代わりに
・解糖
・ミトコンドリア内ないし細胞質内のSLP
・フマル酸還元などの特殊経路
といった、酸素非依存のATP産生ルートを進化させています。
要するに、がん細胞も寄生虫も、
呼吸鎖に頼らず、発酵的な基質レベルリン酸化でATPを稼ぐ
という「生命維持の奥の手」に強く依存しているのです。
駆虫薬のミベンダゾールやフェンベンダゾールは、
寄生虫の微小管や代謝系に作用し、その増殖・生存を止めますが、その背景には、
酸素非依存の代謝ルートに依存した細胞を、選択的に弱らせる
という共通の性質があると考えられます。
そして、がん細胞側も同じようにmSLPに依存しているとするならば、
駆虫薬で寄生虫のエンジンを止めることは、そのままがん細胞のエンジンを止めることにも繋がりうる、というのがセイフリード理論の拡張的な読み方です。
この文脈の中で、ミベンダゾール、フェンベンダゾールに加え、イベルメクチンのような駆虫薬も、
「がん代謝を標的とする可能性のある薬剤」として注目されてきました。
ここで大事なのは、イベルメクチンの詳細な分子メカニズムを覚えることではなく、
イベルメクチンは、寄生虫用として使われてきた駆虫薬であり、
寄生虫とがん細胞が同じ“非常用エンジン”を使っているとするなら、
その抗がん効果の可能性は、セイフリード博士の代謝理論によって理論的に支えられる
という位置づけです。
つまり、
「駆虫薬ががんにも効いているようだ」という現場発の話や症例報告は、
セイフリード博士の
・がんは代謝の病
・がんと寄生虫は、同じ基質レベルリン酸化エンジンを共有している
という視点によって、はじめて深い意味を持ってくるのです。
さらにそこへ「栄養的ケトーシス」が重なると、代謝的な包囲網はより厳しくなります。
ケトーシスによって血糖とインスリンを下げ、グルコース供給を絞る。
断食やカロリー制限で、がん細胞の栄養環境をさらに制限する。
そのうえで、寄生虫とがん細胞が共有するエンジンに駆虫薬で打撃を与える。
すると、
・外側からは糖と栄養を断たれ
・内側では“非常用エンジン”であるmSLPも揺さぶられる
という二重の包囲が生じます。
もちろん、現時点でこれはあくまで理論的・前臨床的な範囲の話であり、
ヒトのがん患者さんで十分に検証された「標準治療」ではありません。
自己判断で駆虫薬を大量に飲むことは危険ですし、
現在受けている治療を勝手にやめることも決して勧められません。
しかし、
・がん細胞と寄生虫の代謝的な類似性
・それを標的とする駆虫薬
・さらに糖を断ってケトーシスへ導く食事療法や断食
これらが一つの大きな「代謝的がん治療」の枠組みの中で繋がって見えてくる、
ということ自体が、新しい時代のがん研究においてとても重要な意味を持っていると言えるでしょう。
最後に(注意と展望)
ここで述べた内容は、セイフリード博士らの代謝理論や前臨床研究をベースにした「理論的な理解」と「研究段階の可能性」です。
実際の治療は、がんの種類やステージ、全身状態、これまでの治療歴などによって大きく違います。
・現在治療中の方が、食事療法や代謝療法を取り入れたい場合
・駆虫薬の可能性について主治医と相談したい場合
などは、必ず担当医や複数の医師とよく話し合い、安全性と相互作用を確認しながら進める必要があります。
それでも、
がん細胞と寄生虫は、深いところで同じ「非常用エンジン」を共有している
そのエンジンをどう止めるか、という視点から新しい治療の可能性が見えてくる
という発想は、多くの方にとって、がんとの向き合い方を考え直すきっかけになるかもしれません。
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