しかし、その内には偉大なる存在から注がれる無限のパワーと繋がり、世界に豊かさのエネルギーを循環させる「水門」となる可能性を秘めています。
豊かさの源泉と繋がる「水門」としての私たち
黄金色に輝く稲穂が豊かに実る田園風景を思い浮かべてみてください。
その豊かな実りは、田んぼに清らかで豊富な水が満たされているからこそもたらされます。
そして、その水を田んぼへと導くのが「水門」の役割です。
水門が開かれることで、生命の源である水が隅々まで行き渡り、稲は力強く成長していくのです。
私たち一人ひとりも、この水門と同じ役割を担っています。
大いなる宇宙の繁栄エネルギーと繋がり、それを自らの内に留めるのではなく、社会や周囲の人々へと流していくことで、自らもまた豊かになっていくのです。
この真理を体現した人物こそ、アメリカの「自動車王」ヘンリー・フォードです。
彼はかつてこう語ったと言われています。
『もし、私が今まで築き上げたすべての富を失ったとしても5年もあれば取り返すことができるだろう。
なぜなら、私は無限なる宇宙の繁栄のエネルギーとつながる方法を知っているからだ』
フォードが発見した「宇宙の繁栄エネルギーと繋がる方法」とは、決して特別な秘術ではありません。
それは、後述する宇宙の普遍的な法則に基づいた、極めてシンプルかつ深遠なルールだったのです。
エネルギーの流れを循環させる「与える」という宇宙の法則
そのルールとは、「無限のエネルギーを独り占めせず、多くの人々に供給しようとすること」 です。
我欲に駆られ、エネルギーの流れを自分だけのものにしようと水門を固く閉ざしてしまえば、その水は淀み、いずれ枯渇してしまうでしょう。
しかし、多くの人々のために、世の中のためにと、その水門を大きく開け放つとき、流れは勢いを増し、やがて大河となっていくのです。
これは「与えたものは与えられる」という、宇宙の根本的な法則に基づいています。
物理的な世界だけでなく、エネルギーの世界においても、この法則は絶対的な力を持っています。
京セラやKDDIを創業し、JALを再建した経営の神様、稲盛和夫氏は、その経営哲学の中心に「利他の心」を据えました。
彼は、「自分だけがよければいい」という利己の心ではなく、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心で判断することの重要性を説いています。
利己的な動機に基づく判断は視野を狭め、誰の協力も得られませんが、「人によかれ」という利他の心で物事を進めれば、周囲の協力が得られ、結果として自分自身も成功へと導かれるのです。
また、「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一も、その著書『論語と算盤』の中で、道徳と経済活動の調和を説きました。
利益追求(算盤)だけでは永続的な繁栄はありえず、そこに人としての正しい道(論語)が伴って初めて、真の豊かさがもたらされると説いたのです。
彼の思想は、まさに与えること、つまり社会貢献が、結果的に経済的な成功にも繋がるという宇宙の法則を、実業の世界で証明したものでした。
真に「与える」とはどういうことか
もちろん、「与える」とは、無分別に何かを施すことではありません。
相手の成長や自立を妨げるような与え方は、真の「与える」とは言えません。
例えば、働く意欲のない人にただお金を与えることは、その人のためにならないばかりか、エネルギーの浪費に繋がってしまいます。
真に「与える」とは、相手のためになり、世の中のためになる行いを指します。
それは物質的なものに限りません。
むしろ、心のプラスとなるものを与えることで、宇宙はより大きな豊かさを返してくれるのです。
インド独立の父、マハトマ・ガンジーは、「非暴力、不服従」という哲学を掲げ、人々に内なる強さを持つことの重要性を説きました。
彼の言葉「強さとは、身体能力ではなく、不屈の精神から生まれるものだ」 は、物質的な力よりも精神的な力の優位性を示唆しています。
人々を勇気づけ、自らの信念を貫く力を与えたガンジーの生き方そのものが、世界に計り知れない影響を与えました。
また、貧しい人々のために生涯を捧げたマザー・テレサの言葉は、与えることの本質を深く教えてくれます。
「大切なのは、どれだけ多くを与えたかではなく、それを与えることに、どれだけ愛をこめたかです。」
「愛とは、大きな愛情をもって小さなことをすることです。」
彼女は、物質的な施し以上に、微笑みや思いやりといった心のこもった行動、つまり「心を与えること」の価値を強調しました。
人の相談に乗り、親身になって勇気づける。
笑顔で挨拶し、周りを幸せな気持ちにする。
そうした日々の小さな「与える」行為が、巡り巡って自分自身に幸運をもたらすのです。
「フロー状態」―与えることへの没頭がもたらす至福
心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー」という概念があります。
これは、何かに深く没頭し、時間や自我の感覚を忘れ、活動そのものに喜びを感じている状態を指します。
アスリートが「ゾーンに入る」と表現するのも、このフロー状態の一種です。
利他の精神で誰かのために、あるいは社会のために無心で行動しているとき、人はこのフロー状態に入りやすくなります。
自分の利益を忘れ、ただ目の前の人の喜びや課題解決に集中する。
その没頭状態こそが、宇宙の無限のエネルギーと直結する瞬間なのです。
この状態では、人は最高のパフォーマンスを発揮し、同時に深い充足感と幸福感を得ることができます。
そして、その結果として生み出された価値が、やがて自分自身への豊かさとなって還ってくるのです。
損して得取れ ― 宇宙のタイムラグを信頼する
人助けをした結果、その場では自分が損をしたり、マイナスになったように感じられることもあるかもしれません。
しかし、宇宙の法則にはタイムラグがあります。
蒔いた種がすぐに芽を出すとは限らないように、あなたの「与える」という行為の報いが、いつ、どこで、どのような形で返ってくるかは分かりません。
しかし、忘れないでください。
宇宙は完璧な帳尻合わせを行います。
あなたが与えたエネルギーは、決して消えることはありません。
それは宇宙に貯金され、あなたが最も必要とするときに、思いがけない形で、何倍にもなって返ってくるのです。
結論:無限の繁栄エネルギーを受け取る水門を開け放とう
私たちは皆、無限の宇宙の繁栄エネルギーと繋がる水門です。
その水門を開き、豊かさの流れをせき止めることなく、多くの人々のために流していくこと。
それこそが、私たち自身が真に豊かになるための唯一の道なのです。
ヘンリー・フォードが知っていた秘密、稲盛和夫や渋沢栄一が実践した哲学、そしてガンジーやマザー・テレサが身をもって示した愛。
そのすべてが、「与えることこそが、受け取ることである」 という宇宙の普遍的な真理を指し示しています。
今日から、あなたの水門を開け放ってみませんか。
見返りを求めることなく、ただ純粋な喜びから、誰かのために、世の中のために、あなたができることを始めてみましょう。
それは、笑顔での挨拶かもしれません。
誰かの話に心を込めて耳を傾けることかもしれません。
その小さな一滴が、やがて大河となり、あなた自身の人生をも豊かに潤していくことを、あなたはきっと体験するでしょう。
人は与えた分だけ、受け取るようにできているのですから。