2023年5月3日水曜日

大金を得た者の落し穴と杜子春の畜生道


芥川龍之介の作品に『杜子春』があります

昔の中国の都にいた若者、杜子春が主人公の物語りです

杜子春は元はお金持ちの息子だったのですが、今は財産を失ってその日暮らしの貧しい生活をしています

そこに片目の老人が現れて、若者を憐れみ、「いい事を教えてやろう。夕日に照らされて出来たお前の影の頭の部分を掘りなさい」と言います

言われるまま掘ると、車いっぱいの黄金を掘り当てます

大金持ちになった杜子春は、贅沢三昧な暮らしをします

都の人も、杜子春の豪奢な暮らしを聞きつけて、彼の元に集まってきます

杜子春は彼らに奢ってあげて、飲めや歌えの生活をします

しかし、あれほどあった黄金は、豪奢な暮らしを続けたため、三年もするともとの貧乏に戻ってしまいました

するとお金を持っていた時には、杜子春のもとに集まってきた者たちは、貧しくなると手のひらを返して寄って来なくなり、街で見かけてもあいさつすらする者がいなくなります

あわれな杜子春のもとに、またあの片目の老人が現れて、今度も黄金のありかを教えます

教えられたとおりにすると杜子春はまた黄金を掘り当てて、以前のような贅沢な暮らしをするというものです

ですが、前回と同じように、豪華な暮らしを続けたため、また三年でもとの貧乏に戻ってしまいます

この話と同じような事は、私たちも経験するものがいます

ビジネスで思わぬヒットを飛ばし成功したものや、宝くじが当たって一夜にして大金を手に入れたもの、遺産が転がり込んだ者などいます

そうしたものの中には、突然入った大金に舞い上がり、豪華な暮らしをし出すものがいます

人は入ってきた分を、使ってしまう事が多いですね

『杜子春』には、そうした人間の気の緩みへの戒めが書かれていると思います

そして話に戻ると、杜子春はまた貧乏になってしまった時に、片目の老人が三度現われ、黄金のありかを伝えます

ですがその時には杜子春も人間に愛想をつかして、黄金を断ります

そして老人が実は仙人だと見抜いて、弟子入りを申し出るのです

老人も「いかにも俺は峨眉山に棲すんでいる、鉄冠子いう仙人だ」と名乗ります

杜子春の弟子入りを快く引き受けます

鉄冠子は杜子春を絶壁の下に坐らせて「これから決して口を開いてはならない」と忠告し出ていきます

黙っている杜子春のもとには、様々な怖いものが現れては、口を開かそうとするのですが、彼は仙人の言いつけを守って言葉を発しません

それからいろんな出来事があって、杜子春の魂は地獄の底へと降りていきます

地獄では閻魔大王が待っていて、杜子春を問い詰めますが、耐えて口を塞いでいます

何とか杜子春の口を割らせようと、彼の両親を引き連れてきます

実は、杜子春の両親は、畜生道に落ちて、馬の身体になっていたのです

しかし、その顔は杜子春の両親の姿そのものでした

鬼どもは鞭で馬の姿となった両親を責め苛みます

痛みで倒れた母親は「お前さえ幸せになるのなら・・・」と言って杜子春に「黙っておいで」と伝えます

杜子春は親の哀れな姿を見て、思わず駆け寄り「お母さん」っと言葉を発してしまうというものです

まだ読んだことが無い方は、以下のサイトで無料公開されている短い作品ですので、読まれてみてください


以前にこのブログで「怠け者がいく霊界 畜生道」というものを書きました

そこで私が霊界に行って、小さな馬のような生き物に変わった人霊を見たお話を書きました

芥川龍之介の「杜子春」を読むと、同じように畜生道に落ちて馬の姿に変えられた者が描かれています

おそらく芥川さんも霊界からのインスピレーションを受けて作品を書かれたのだと思います

実際にそうした世界がある事を示した作品です

新刊『アースチェンジ——近未来の警告書では、これから訪れる地球の変革について書いています

3 件のコメント:

ゆどうふ さんのコメント...

芥川龍之介の杜子春、初めて読んだ時は道徳的で深い話だな〜〜ぐらいにしか思っていなかったのですが、今になって読み返してみると、色んな発見がありますね。

主人公がもともと金持ちの息子であること、
仙人に会うまでろくに働きもしなかったような人間であること、
彼に自堕落な環境を与え、そんな人間へと育てた両親が、畜生道に堕ちていること、

全てが一つの輪になって出来ている作品なんだなって、
改めて霊的な深さを感じとることが、出来ました。

匿名 さんのコメント...

「おかんだけは…」と泣いて懇願していたガーシーを思い出します。私も含めてですが、未熟な地球人にとって、心を揺れ動されず冷静さを保つことはそんなに簡単なことではありませんね。心が揺れるたびに、今回のお話を思い出して、外部に惑わされず冷静に仙人(=神)に忠実である生き方をしたい と思いました。

匿名 さんのコメント...

図書館で新世研の絵本の杜子春と金の星社のまんが日本の文学 鼻 杜子春を借りて読んでみました。恥ずかしながら本の題名も初耳で読み方すら分からなかったのですが文章だけではなく絵もありますとより理解でき記憶に残ります。短い作品ですが今の自分には深く考えさせられるものを紹介していただきたいへん有難うございました。

今後のコメントは X(旧Twitter)にてお待ちしております。