あなたが今いる場所、出会う人、繰り返し起きる出来事。それらを見渡したとき、なぜ自分の人生はこういうかたちになっているのだろうと感じたことはないでしょうか。私はこう考えています。あなたがどのような思いを持って日々を過ごしているか、そのことがあなたの人生をかたちづくっているのだと。
これは決して難しい話ではありません。朝起きて、今日も嫌なことが起きそうだと思いながら家を出る人と、今日はどんな良いことがあるだろうと思いながら家を出る人。同じ一日を過ごしても、その日の終わりに心に残るものはまるで違ってきます。私たちが内側で発している思いは、知らないうちに人生という織物の糸になっているのです。
外の世界は、あなたの内面を映すスクリーン
外の世界というのは、いわばスクリーンのようなものだと私は思っています。映画館のスクリーンそのものには何も描かれていません。そこに映像を送り出しているのは、後ろにある映写機です。あなたの目の前に広がる現実は、あなたの内面という映写機が映し出した像なのです。
心の中に不満や妬み、自分を責める気持ちといった醜いものを抱えていれば、外の世界にもどこか荒れた、とげとげしい姿が映し出されてきます。逆に、感謝やいたわり、澄んだ願いを心に持っていれば、外の世界にもおだやかで清らかな姿が映ってくる。同じ職場、同じ家族の中にいても、ある人にとっては争いの場に見え、別の人にとっては支え合いの場に見えるのは、それぞれが違う思いという映写機を持っているからです。
だからこそ、人生を変えたいと思ったとき、まず手をつけるべきはスクリーンではありません。スクリーンに映った映像を必死にこすっても、何も変わらない。変えるべきは映写機のほう、つまりあなたの内面に流れている思いなのです。ここに気づけたとき、人生は自分の手の中に戻ってきます。
物質界では、思いはゆっくりと姿を現す
ただし、ここで気をつけてほしいことがあります。思いを変えたからといって、外の世界が翌朝には別物になっている、ということはありません。私たちが生きている物質の世界は、思いがそのまますぐに像を結ぶ世界ではないのです。
思いと現実のあいだには、ある程度の時間の幅があります。良い思いに切り替えても、しばらくは前の思いがつくった現実が続くように見える。あるいは、変わり始めても上がったり下がったりを繰り返す。この時間差を知らないと、少しやってみて何も変わらないと感じ、やっぱり自分には無理なのだと元の思いに戻ってしまいます。これがいちばんもったいない。
蚕のことを思い浮かべてみてください。蚕は一本の細い糸を、休むことなく少しずつ口から吐き出していきます。一時間眺めていても、繭ができあがる瞬間など見えません。けれど糸を出すのをやめなければ、いつのまにか自分をすっぽり包む繭ができている。私たちの思いも、これと同じです。今日の思いが、今日のうちに現実になるのではない。毎日くり返される思いが、ゆっくりと、確実に、あなたを取り巻く世界を編んでいくのです。
すぐに変わらない時を、どう過ごすか
思いを変えたのに現実が動かない。その期間こそ、あなたの思いが本物かどうかが試される時間だと私は思います。ここで焦らないでください。種をまいて、土の上に芽が出るまでには時間がかかります。土の中では、見えないところで根がしっかり伸びている。現実が変わらないように見える時も、あなたの内側では確かに何かが育っています。
大切なのは、結果が出ないことに腹を立てて思いを濁らせないことです。早く変われと急(せ)く気持ちそのものが、不安というあらたな思いになってスクリーンに映ってしまう。だから、変わっていく途中なのだと信じて、今日もまた良い思いの糸を一本吐き出す。その積み重ねが、半年後、一年後のあなたの景色をまるごと変えていきます。あなたの人生は、あなたが毎日心に何を抱くかで、これからいくらでも作り直していけるのです。
今日からできること
一つ、朝いちばんの思いを点検する。目が覚めて最初に浮かぶ思いが、その日のスクリーンの色を決めます。今日はどんな良いことがあるだろうと、自分にひとこと声をかけてから一日を始めてみてください。
二つ、誰かを責めたくなったら映写機を思い出す。外の出来事に腹が立った時、それは内面が映し出した像かもしれません。相手を直そうとする前に、自分が今どんな思いを発しているかをそっと振り返ってみましょう。
三つ、結果を急がずに時間の幅を受け入れる。思いを変えてもすぐには現実は動きません。変わるまでには幅があると最初から知っておけば、途中であきらめずにすみます。
四つ、毎日ひとつ、清らかな思いの糸を吐く。感謝でも、人を思いやる気持ちでも構いません。蚕のように、小さな一本を今日もまた出し続けることが繭を作ります。
五つ、半年前の自分と今を比べてみる。昨日と今日では変化は見えません。けれど少し長い目で振り返ると、思いが現実を編んできた跡が見えてきます。その手応えが、次の一歩を支えてくれます。
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