放射線・原発と心の在り方|恐れに飲み込まれずに事実と向き合う

2013年1月30日水曜日

メディア問題 原発問題 放射能


(世界の高自然放射線地域)


原発と放射線。

この言葉を耳にするたびに、胸がきゅっと締めつけられるような感覚を覚える方は、いまなおとても多いと思います。

東日本大震災と福島第一原発事故は、私たち日本人の集合意識の奥に、深い悲しみと、深い不安を刻みつけました。

それは無理もないことであり、決して責められるべき感情ではありません。

しかし、震災から年月が経つなかで、私はもうひとつ大切なことに気づくようになりました。

それは、「事実」と「恐れ」を、丁寧に分けて考える時間を、私たちは持ったほうがよいということです。

この記事では、放射線や原発をめぐる議論を、どちらかの陣営に偏ることなく、複数の見方を並べながら、心の在り方とともに考えてみたいと思います。

大きく報道される話題と、あまり語られない話題


福島の事故以来、放射性物質や被ばくについて多くの報道が行われてきました。

一方で、世界には「自然放射線量がもともと高い地域」が存在し、そこでも人々が日常を営んでいることは、あまり知られていません。

たとえば、寿命の比較的長いストロンチウム90について、各種公開データを見ると、福島事故以前の核実験時代に検出されていた値は、決して小さなものではありませんでした。

実際、「事故後に都市部で検出されたストロンチウムが、過去の核実験由来であった」と分析された事例も報告されています。

これは、福島の事故が軽かったということを意味するのではありません。

ただ、放射線の歴史は思っている以上に長く、私たちは複数の発生源を背景にしながら生きてきたという事実があるのです。

こうした文脈を併せて知っておくことは、過剰な不安にも、過小評価にも陥らないために、とても大切なことだと思います。

低線量被ばくの議論には、複数の見方がある


放射線の影響については、長らく専門家のあいだで議論が続いています。

代表的なのは、「線量にしきい値はなく、どんなに低くても比例的にリスクがある」とする立場(LNT仮説)と、「ある一定以下の低線量はかえって生体に良い影響を与える可能性がある」とする立場(ホルミシス仮説)です。

どちらにも、それを支持する研究者と、否定する研究者がいます。

たとえば、塩や鉄分やビタミンといった栄養素は、欠乏しても過剰でも体に害をもたらしますが、適量であれば私たちの命を支えてくれます。

放射線についても、自然界には常に存在しているものであり、私たちの体は太古からそれと共に進化してきました。

ラドン泉のように、古くから「身体によい」と言われてきた温泉のなかには、自然放射線量がやや高い場所があることも事実です。

ただし、ここで大切なのは、「だから放射線は安全だ」と単純化することではありません。

科学的にもまだ完全には決着がついていない問いが、確かに存在している」という、誠実な不確かさを共に受け止めることです。

報道に触れるときも、断言ではなく「複数の説のうちの、ひとつの紹介」として聴く姿勢を持つと、心の振れ幅がずいぶん穏やかになります。

原発の是非を、長期の視点で見つめ直す


原発をどうするかという問題は、賛成か反対かの二者択一で語られがちです。

しかし、現実には、もっと多くの考慮すべき要素があります。

ひとつは、エネルギー価格の問題です。

日本のような大規模なエネルギー消費国が、ある日突然、火力や輸入エネルギーへ大きく依存するようになれば、化石燃料価格に上昇圧力がかかります。

それは巡り巡って、世界の食糧価格にも影響しうるとされ、経済的に脆弱な国々の暮らしを揺るがす要因のひとつになりかねません。

「人の命より大切なエネルギーはない」という言葉は、確かにその通りです。

同時に、「エネルギーの不足が、別の地域の命に影響することもある」という、もうひとつの真実にも、私たちは目を向けたいと思います。

もうひとつは、安全保障の文脈です。

日本が高度な原子力技術を平和利用しているという事実は、地政学的にも一定の意味を持つと指摘する論者もいます。

これは慎重に語るべきテーマであり、ここで結論を出すものではありません。

ただ、「反原発か推進か」という単純な対立構図ではなく、エネルギー安全保障、気候変動、地域経済、廃棄物処理、技術革新――こうした多面的な視野で議論されるべき問題であることは、心に留めておきたいところです。

新しい時代に向けた、安全な原子力利用のアイデア


私はかつて、原子炉の立地や構造について、いくつかのアイデアを書いたことがあります。

たとえば、人が直接危険にさらされにくい配置を考えたり、津波対策と一体化した設計を検討したり、遠隔操作のロボット技術を最大限に取り入れたりする発想です。

これらが現実に最適解であるかは、専門家による厳密な検討が必要です。

しかし、「反対か賛成か」だけでなく、「どうすればより安全に運用できるか」という第三の道を考えることは、私たち市民にも開かれた創造的な選択肢のひとつだと思います。

選挙のたびに二項対立で語られるテーマだからこそ、その奥に、こうした「もうひとつの視点」があることを、忘れずにいたいものです。

不安に飲み込まれそうな時の、心の整え方


ここからは、霊的な視点から少しお話しさせてください。

災害や事故のあと、見えないものへの恐怖が強まっていくと、心の中にいくつかの傾向が現れることがあります。

たとえば次のような状態です。

1.悲観的な見通しが頭から離れなくなる

「もう日本はだめだ」「自分の人生も終わりだ」など、未来への絶望感が増えていきます。

2.恐怖心がコントロールしづらくなる

客観的なデータでは安全とされる範囲でも、不安が止まらなくなります。

3.人や情報を信じられなくなる

善意の助言や、信頼できる機関のデータでさえ、「裏があるのではないか」と思えてきてしまいます。

4.被害妄想や過度の警戒が強まる

すでに何かに害されているのではないか、と感じやすくなります。

5.陰謀論的な世界観に染まりやすくなる

「世界はすべて影の組織に支配されている」というような、極端な世界観に親しみを覚えやすくなります。

これらは、誰の心にも起こりうる、自然な「恐れ」の延長です。

決して、その人の人格や信仰の問題ではありません。

ただ霊的に見ると、こうしたとき、人はネガティブな波動の影響をふだんより受けやすい状態にあるとも言えます。

ですから、もし自分のなかにこうした傾向を見つけたら、責めるのではなく、こう優しく自分に語りかけてみてください。

「私はいま、不安にとても影響されているのかもしれない」

「少し休んで、心と身体を整えよう」

深呼吸をする、自然のなかを歩く、信頼できる誰かと話す、祈る、瞑想する、しばらくニュースから離れる――どれもとても有効です。

事実と祈りで、一歩ずつ前へ


放射線や原発は、私たちの世代に残された大きな宿題のひとつです。

正しい答えは、まだ誰の手にも完全には握られていません。

だからこそ、事実を誠実に学び続ける姿勢と、恐れに支配されない祈りの姿勢の両方が、私たちには必要です。

報道のすべてを鵜呑みにするのでもなく、すべてを陰謀と退けるのでもなく、自分の心の真ん中にある「静かな知恵」に問いかけながら、情報を選び取っていく。

そして、被災された方々、いまも見えない不安を抱えている方々、エネルギー政策の最前線で働く方々、すべての魂に、温かな祈りを贈る。

それが、いまこの時代を生きる私たちにできる、もっとも本質的な貢献ではないかと思います。

恐れだけが大きくなれば、世界はますます重たくなります。

しかし、ひとりひとりが心を整え、事実と祈りで歩み続けるなら、それは確かに、未来の選択肢を広げていく光になります。

どうか今日も、不安に飲み込まれることなく、しかし大切なことから目を逸らすこともなく、あなた自身の歩幅で、一歩ずつ進んでいかれますように。
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