古代文明の沖縄の話し 運玉森の物語・青色人

2016年9月24日土曜日

沖縄の話し 物語






以前に書いた物語で、運玉森が聞かせてくれた話しをいたします



運玉森は私の住んでいる町にあり、子供のころに自転車をこいで遊びに行っていました

運玉森については、この森に隠れて住んでいたとされる、民話に出てく義賊の運玉義留(ウンタマギルー)が有名です

子分の油喰坊主(アンダクウェーボージャー)とともに活躍する姿は映画にもなりました

今日は、運玉森からもっと古い昔の話しを聞きました

昔からこの地は陸地が広くなったり、運玉森を残して海に沈んだり、いろんなことがあったそうです

人がたくさん住んでいたこともあれば、誰もいなくなったりを繰り返していました

そんな移り変わる世の中を運玉森はずっと見てきました

今日聞いたのは、たくさん見てきた物語の中の一つです

沖縄の大地が、今よりもっと広く、南北に陸続きだった時の、遠い昔のこと

運玉森から東へ下っていったところに、三日月形の白く美しい海岸があり、そこに青色人と呼ばれる人達の村がありました

青色人と呼ばれていたのは、彼らが海の龍神から守っていただくために、青色の入れ墨をしていたからです

青色人は小舟をこいで、海で漁をして暮らしていました

おもしろい漁の仕方で、舟先で大声で歌ったり、棒で海面を叩いたり、ずいぶん騒がしいものでした

大声で歌ったり、音をたてたりするのは、魚を驚かせて網に誘う意味もありましたが、その歌声につられて、どこからともなくイルカがやってきて、一緒に漁を手伝ってくれるからです

入江に仕掛けられた網に魚を誘い入れ、そのおこぼれをイルカたちもいただいていました

青色人は必要なだけ魚をとって暮らし、一部は海の神様への捧げ物としていました

いつもとかわらない一日をおくっていた青色人のもとへ、ある日のこと、北に住んでいる黄色人が訪ねてきました

黄色人は、肌が黄色いのはそうですが、服も稲穂のように黄色をしていたので黄色人といいました

黄色人は北の地でとても栄え、おもに田畑をたがやして作物をつくって暮らしていましたが、自分たちの実らせた作物と、青色人の漁でとる魚を取りかえあおうと言ってきたのです

青色人にしても、いつも魚ばかりたべていたのでは飽きてしまうので、良い話しでした

お互いに良い話しでしたので、これからも取った作物を取りかえあうことにしました

月日が経って、青色人と黄色人との取引が多くなると、魚と農作物を取りかえる物々交換では、何かと不便なので、黄色人からまた提案がありました

それは黄色人は丸く磨かれた緑の石玉を、いくつも紐に通して首飾りにしていましたが、その石玉を物のかわりに取りかえようとのことでした

黄色人の村では緑の石玉を、普段は首飾りにしていますが、何か買いたい物があると取り出して交換していました

青色人はこれは便利だと納得してしたがうことにしました

魚をとって境に住む黄色人の商人に持って行くと、魚の種類や量によって緑の玉を受け取ります

それを必要な時に好きなだけ農作物と取りかえることが出来ます

いちいち魚を欲しがっている人をみつけて、どれくらいの作物と取りかえるか、毎回話し合う必要がなくなり、たいへん便利でした

緑の玉を使った取引は、青色人のあいだでも流行りだして、家を建てるのを手伝ってもらったり、着物をゆずってもらうときには、緑の玉を必要なだけあげるようになりました

青色人は緑の玉をたくさん貯めることで、黄色人の持っている金属製の道具も手に入れことができました

金属は木を切る道具だったり、釣り針や銛につかったり、舟を作るための道具として使われたりで、たいへん役立ちました

青色人の暮らしは、黄色人からもたらされた緑の玉や、金属によってだんだん豊かになっていきました

ですが、今まで無かった問題が村では起こるようになりました

今までは、必要なだけ漁をして魚をとって暮らしていて、それは、魚を多くとりすぎても、村で分け合って余るものは腐らせてしまうため、余計なものまでとる必要が無かったのです

それが、栄えている北の黄色人と緑の玉で取引するようになってからは、いくらでも多く取り、緑の玉にかえて持っていれば、腐ることもなく貯められるのが分かったからです

そうなると、青色人たちは一部を海の神様に捧げることもしなくなって、たくさんの魚をとるようになりました

今までは漁をして村で分け合っていたのが、お互いに競り合い、より多くを自分の手に入れようと躍起になっていきました

青色人の村に、緑の玉を多く持つ者と、わずかしか持たない者の、貧富の差が生まれてきたのです

さらには、わずかしか持たない者は、より多く持つ者から借りるようになり、後で借りた分以上を返さなければいけなかったため、持ち物をすべてとられたりしました

また、緑の玉の貸し借りで村の中で憎しみあいが生まれて、喧嘩が増えたり、緑の玉を盗む泥棒まで生まれました

その頃には、たくさん魚をとるようになったものですから、近くの海では魚が少なくなり、イルカたちも手伝いに来なくなりました

青色人たちは遠くまで漁をしに出かけていかなくてはいけなくなり、以前より苦労して生活するようになりました

海岸からすこし沖に進むと離れ小島があり、その周囲にはたくさんの魚や貝が群れをなしていました

青色人の村では、離れ小島に近づいて漁をしたら海の神様の災いがおこる、と言い伝えられていたため、今までは誰も近づこうとはしませんでした

それが、近くの海では魚たちが減ってきたため、なかには離れ小島にいって、漁をする者もあらわれました

ある日の夜のこと、いつまでたっても村に帰ってこない舟がありました

他の漁師の話しでは、その舟が離れ小島へと向かっていったのを見たそうです

村人は篝火をたき、海に探しに出たのですが、ついに行方不明の舟を見つけることはできませんでした

翌朝になって一番に海岸へと向かった漁師によって、昨日行方不明になった舟が、真ん中から折られて岸に打ち上げられているのが見つかりました

舟に乗っていた漁師はとうとう見つかりませんでした

村では言い伝えを守らなかったため、海の神様の罰があたったのだろう、と噂しました

青色人の中でも勇敢で向こう見ずな若者が、噂が本当か確かめてくる、と言って離れ小島へと行くことにしました

その若者が舟を漕いで、もうすぐ小島の岸へと付きそうになった時です

突然、黒い大きな影が海底からあがってきて、若者の舟の回りをグルグル旋回しだしたのです

若者は舟底にあった銛を手につかんでジッと影を睨みました

やがて影が海面まであがってくると、それは、大人をひとのみにできそうな、巨大な鮫でした

鮫はセビレで海面を切りながら、じょじょに、若者の舟との距離を縮めてきます

今にも鮫が襲い掛かろうとした時です

若者は銛をヤアッと掛け声とともに、巨大な鮫の背中へと突き刺しました

鮫は怒り狂ったように暴れて、海面へ飛び上がり、若者の舟にぶつかりました

小さな舟はひとたまりもなく潰れて、若者ともども海の底へと沈んでいきました

それ以来、若者も巨大な鮫も、姿を見た者はいません

青色人の村人たちは、この出来事を悲しみ、離れ小島に若者と行方不明になった漁師と大きな鮫のための石碑を建て、供養するようにしました

そして、村中で話し合い、行き過ぎた漁で魚をとりすぎないように、漁をする時間を決めて、貧しい家族にはなるべく村中で世話するように取り決めました

それからは、村では争い事は減っていき、魚もすこしづつ戻ってきて、イルカも漁を手伝うようになりました

運玉森から聞いたお話しはまだ続くのですが、長くなりましたので、今回はこれで終わりにいたします


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