今日、ホルムズ海峡をめぐるニュースがまた一段、重い色に変わりました。
米国がイランへの攻撃を再開し、イランはホルムズ海峡の封鎖を改めて宣言した。
数字の上では「原油価格がまた上がる」という、いつものヘッドラインに見えるかもしれません。けれど私がこの数か月、繰り返しお伝えしてきたのは、本当に怖いのは値段ではない、ということでした。
止まるのは、ガソリンスタンドの価格表示ではありません。止まるのは、私たちの暮らしを支えている「物の流れ」そのものです。
製造業の4割が「半年が限界」と答えた
サプライチェーン管理会社のResilire(レジリア)が、日本の製造業の役員・管理職に調査をしました。日本経済新聞が6月10日に報じています。
質問はとても率直なものでした。「今の状況が続いたら、あとどれくらい事業を続けられますか」。
返ってきた答えを並べると、背筋が冷えます。
「1か月未満」が0.8%。「1〜3か月」が10.6%。「半年程度」が29.2%。
足し合わせると、40.6%。
ここは正確に読みたいところです。この数字は「もし今の状況が続いたら」という仮定への答えであり、4割の企業が実際に半年で倒産すると決まったわけではありません。あくまで、それだけの経営者が半年先に強い危機感を抱いている、という心の温度です。
それでも、軽い数字ではありません。景気が悪い、売上が落ちたという話ではなく、会社を続けられるかどうかを経営者自身が指折り数え始めている。その手触りが伝わってきます。
なぜ「半年」でそこまで追い詰められるのか
ホルムズ海峡は、世界の海上原油輸送のおよそ2割が通る場所です。ここが詰まると、日本で起きるのはガソリン高だけではすみません。
問題はナフサです。プラスチックや化学製品のもとになる原料で、日本が使うナフサのおよそ4割を中東に頼っています。
ナフサが上がれば、樹脂のコストが上がる。樹脂が上がれば、自動車部品も、食品の容器も、医療用の器具も値段が押し上げられていく。一本の管が細ると、その先の価格が順番に動いていきます。
つまり中東の海で起きていることは、距離は遠くても無関係ではいられない。半年ほどかけて、私たちの家計の中にも少しずつ顔を出してきます。
すでに「逃げ道」がふさがれている
同じ調査で、「影響なし」と答えた企業はわずか7.4%でした。
裏を返せば、9割以上が何らかの影響を受けている。ただし「影響あり」と「深刻な打撃」は分けて読む必要があります。輸送費が少し上がった程度でも「影響あり」に入るからです。
そのうえで内訳を見ると、「業績に影響が出るレベル」が48.4%、「事業継続に支障が出るレベル」が13.6%。深刻な側に寄った回答が合わせて62%という数字は、やはり見過ごせません。
さらに苦しいのが、値上げできていない現実です。
コスト上昇を「ほとんど転嫁できていない」が31.8%、「全く転嫁できていない」が16.4%。約半数の48.2%が、原材料の値上がりを販売価格に乗せられずにいます。十分に転嫁できている企業は、たったの4.5%でした。
原材料は上がる。利益は削られる。それでも値上げはできない。最後に資金繰りが悪くなる。教科書通りの危機の入口に、もう片足が入っているのです。
帝国データバンクが約1700社に行った別の調査でも、96%が中東情勢の悪化によるマイナス影響を懸念し、原油高が半年続けば約4割が事業の縮小を検討すると答えました。違う調査が、同じ結論を指している。製造業の現場の危機感は、決して大げさではないということです。
本当に恐れているのは「燃料代」ではない
ここを読み違えると、備えの方向まで間違えます。
経営者たちが夜眠れないほど恐れているのは、燃料が高いことではありません。「必要な材料が、お金を出しても手に入らなくなること」です。
原油、LNG、ナフサ、樹脂、接着剤、塗料、半導体の材料。これらが手に入りにくくなると、製品によっては生産が滞ることもあります。値段の問題が、品目によっては「手に入りづらさ」に変わりうる、ということです。
ただ、ここは冷静に線を引いておきます。今のところ経済産業省やエネルギー庁、日銀、民間シンクタンクの主流の見立ては、全面的な物不足ではなく「価格の上昇」としています。
とはいえ、もう一段重いシナリオからも目をそらすべきではありません。
今回のように緊張が再燃すれば、ホルムズ海峡が数か月にわたって完全に封鎖される事態も十分に起こりえます。
そうなれば価格上昇では済みません。エネルギーと原材料の供給が世界規模で滞り、日本だけでなく世界全体を巻き込む危機へ発展する恐れがあります。
今すぐそうなると脅すつもりはありませんが、その芽が現実にあることだけは、はっきり頭の片隅に置いておいてください。
それでも私が今回のニュースを軽く見ないのは、価格の上昇と、ときおりの品薄が、これからしばらく続く前提で家計を組み直しておく方が賢いと考えるからです。
煽りたいのではありません。確定していない未来に怯えるのではなく、確かに動き始めた数字に合わせて、半歩だけ支度をしておく。それが今日の主題です。
家庭にはどんな順番で届くのか
会社の調査は会社の話ですが、おもに価格という形で、影響は家庭にも降りてきます。あくまで見取り図ですが、届く順番にはある程度の見当がつきます。
最初に動くのは、燃料と物流費に直結するもの。ガソリン、灯油、電気代、宅配の送料。ここはもう感じ始めている方も多いはずです。
次に来るのが、石油化学を原料にする日用品。ラップ、保存袋、洗剤の容器、衣類、文房具。値上げと、ときどきの品薄が混じり始めます。
そして食品。包装資材や物流、ハウス栽培の燃料を通じて、じわじわと価格に乗ってきます。
少し遅れて、住宅の建材や設備、自動車の部品、医療や介護で使う消耗品。生産に時間のかかるものほど、影響が見えるのは後になりますが、いったん上がると下がるのも遅い。
繰り返しますが、これは「半年で家庭の棚が空になる」と断定しているのではありません。家庭の買い物では、多くがまず値上がりという形で表れます。
ただし現場に目を移すと、品薄はもう始まっています。シンナーなどの溶剤や、軽油・ディーゼルオイルといった一部の資材では、すでに調達しづらさが出ていると言われています。
産業の足元から先に乾き始めている、ということです。家庭の棚にすぐ届くわけではありませんが、こうした川上の品薄は、時間差で川下の製品にも効いてきます。
だからこそ、遠い誰かの出来事ではなく、価格と入手のしやすさの両面で自分の暮らしに関わる話として受け止めておく。その構えがあるだけで、後の慌て方がまるで変わります。
恐れではなく、静けさで備える
こう書くと不安をあおっているように聞こえるかもしれません。けれど私がお伝えしたいのは、その逆です。
哲学者パスカルは、人間を「考える葦」と呼びました。風に吹かれれば折れてしまうほど弱い。それでも、自分が何に吹かれているのかを「考えられる」ことが、人間の尊さなのだと。
嵐そのものは止められません。中東の海も、為替も、私たちの手の届くところにはない。けれど、自分の足元を整えることはできる。何が起きているかを知り、慌てずに支度を始めた人から、嵐の中でも立っていられます。
不安という感情は、実は「まだ何も手を打っていない」ときに一番大きくなります。小さくても一つ動けば、不安は驚くほど小さくなる。備えとは、未来におびえないための、今日の小さな祈りのようなものです。
今日からできること
大げさな買い占めは要りません。誰かの分を奪う備えは、めぐりめぐって自分に返ってきます。必要なのは、半歩だけ先を歩く落ち着きです。
ひとつ、以前からお伝えしているローリングストックを、いま改めて実践していく。日用品や保存のきく食品を少し多めに持ち、使った分だけ買い足して回していく。特別な備蓄ではなく、暮らしの中で在庫が自然に厚くなるこの習慣こそが、品薄の波をいちばん穏やかにやり過ごす支えになります。
ふたつ、家計の固定費を一度見直す。エネルギーと物流に連動する出費がこれから増える前提で、削れる無駄を先に削っておく。
みっつ、常備薬や医療消耗品など、切らすと困るものを把握しておく。後から手に入りにくくなりやすいものほど、早めに確認する価値があります。
よっつ、情報の取り方を整える。一つの見出しに一喜一憂せず、数字の出どころまでたどる癖をつける。落ち着いて読める人ほど、間違った行動をとりません。
いつつ、心の備えを忘れない。値段が上がっても、棚が薄くなっても、自分と家族の機嫌だけは自分で守る。物が不足する時代に一番枯れてはいけないのは、お互いを思いやる余裕です。
嵐の前に、すでに知っていた人になる
歴史を振り返ると、危機を生き延びた人たちに共通していたのは、特別な力ではありませんでした。少しだけ早く気づき、慌てずに支度をした、それだけです。
今日のニュースは、不安の種にもできるし、支度を始める合図にもできます。同じ出来事を前にして、どちらを選ぶかは私たち次第です。
私はこのブログで、これからも現実の数字とともに、嵐の歩き方をお伝えしていきます。あなたが今日、半歩でも前に進めますように。そして半年後、「あのとき動いておいてよかった」と静かに微笑んでいられますように。
応援いただいたあなたに、幸せが届きますように祈ります
このブログでお伝えしているのは、魂の旅路への入口となる話です。
もっと深く学びたい方、満月の一斉ワークに加わりたい方は、スピリチュアルスクールでほぼ毎日メッセージをお届けしています。
ブログには書けない霊的な実践も、ここでお話ししています。
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