作家の三島由紀夫が遺した小説に、『英霊の聲』という作品があります。憑依というテーマを考えるうえで、これほど示唆に富む例も少ないので、あらためて取り上げてみます。
この作品を書いたとき、三島は不思議な体験をしたと語っています。手が勝手に動き、ペンが紙の上を滑っていった。そして暗い部屋の片隅から、低くぶつぶつと言うような声が聞こえてくる気がした、と。
英霊たちが語った無念
『英霊の聲』は、二・二六事件の将校たちと、大東亜戦争の特攻隊の兵士たちの霊が、霊媒の青年に次々と憑依し、自らの思いを語っていく物語です。
とりわけ、GHQ占領下で出された天皇の「人間宣言」に対して、霊たちは激しく憤ります。〈などてすめろぎは人間となりたまひし〉、なぜ天皇は人間となってしまわれたのか、と嘆くのです。彼らは人間宣言によって浮かばれず、無念を抱えたまま留まる霊となり、三島の手を借りてその思いを吐き出したのではないか。そう思わせる凄みがあります。
美輪明宏が見た、兵士の霊
霊能者としても知られる美輪明宏は、三島と親しい間柄でした。ある正月、三島邸を訪れた美輪は、三島にカーキ色の軍服を着て帽子をかぶった兵士のような男が取り憑いているのを見たといいます。
「思い当たる節はない?」と尋ねると、三島は「ある」と答え、誰かを当てようと何人かの名を挙げていきました。そして磯部浅一の名を口にした瞬間、その霊は姿を消したというのです。
磯部浅一という人物
磯部浅一は、陸軍軍人で皇道派の青年将校でした。二・二六事件で決起将校らと行動を共にし、軍法会議で死刑判決を受けて刑死した人物です。三島は磯部の「獄中日記」を高く評価し、評論まで寄せています。『英霊の聲』にも、磯部の手記からの抜粋が含まれているといいます。
創作を超えた「憑依の記録」
こうして見ていくと、『英霊の聲』は単なる三島の創作ではなく、無念の晴れない英霊たちの声を写し取った記録だったのではないか、と思えてきます。強い思いを残して逝った魂は、波長の合う書き手を通して、自らの言葉を遺そうとすることがあるのです。
表現者にとって、これは他人事ではありません。何かに突き動かされるように筆が走るとき、そこに誰の思いが乗っているのか。創る人ほど、自分の心を澄ませておく意味は大きいのだと思います。
強い思いを残した霊の憑依という現象は、生霊・悪霊・憑依から身を守る完全ガイドでも扱っています。
関連記事
↓一日一回のクリックが、このブログの灯を守ってくれます
応援いただいたあなたに、幸せが届きますように祈ります
このブログでお伝えしているのは、魂の旅路への入口となる話です。
もっと深く学びたい方、満月の一斉ワークに加わりたい方は、スピリチュアルスクールでほぼ毎日メッセージをお届けしています。
ブログには書けない霊的な実践も、ここでお話ししています。
関連記事


新刊『ソフィアの森で見つけた幸せの鍵』