あなたは今日、ご自分の生活に向かって「ありがたい」と心の底からつぶやいた瞬間があったでしょうか。
おそらく、ほとんどの方が首を横に振るはずです。
私たちは、当たり前の日々にすっかり馴染んでしまうと、その当たり前がどれほど稀有な恵みであるかを、すっかり忘れてしまいます。
屋根があり、蛇口をひねれば水が出て、夜は安心して眠れる。
この何でもない一日が、実はとてつもない幸運の上に成り立っている。
その事実に気づいたとき、人の運命は静かに動き始めます。
今日は、お金も道具も特別な修行もいらない、もっとも素朴で、もっとも力強い開運の道についてお話しします。
幸運とは「何かが起きること」ではない
多くの方は、運がよくなるとは、望みが叶い、嬉しい出来事が舞い込むことだと考えています。
宝くじが当たる。理想の相手と出会う。仕事で大きな成果が出る。
たしかにそれらは喜ばしい出来事です。
けれど、本当の幸運の土台は、もっと地味なところにあります。
それは、悪いことが起きていない、という事実です。
人は、自分の望むことが起こらないと、すぐに不満を抱きます。
一方で、恐ろしいことが何も起こっていない毎日には、まるで関心を払いません。
事故に遭わなかった一日。病に倒れなかった一日。大切な人を失わなかった一日。
それらは「当然」として通り過ぎていきます。
しかし、本当に当然なのでしょうか。
世界に目を向ければ、その「当然」が一瞬で崩れ去る場所が、いくらでもあるのです。
世界には、今この瞬間も苦しむ人がいる
日本のある地域では、地震が幾度も大地を揺らし、その傷が癒えぬうちに水害が町を飲み込み、さらに火山が火を噴く、そんな厳しい時を生きておられる方々がいます。
私たちの多くは、今そうした渦中にはいません。
だとすれば、その「渦中にいないこと」そのものに、まず深く頭を垂れるべきではないでしょうか。
視野をもう少し広げてみます。
世界には、独裁者の支配のもとで、抑圧された社会を生きる人々がいます。
信仰の自由もなく、言論の自由もなく、思ったことを口にすれば命が危うくなる、そんな日々を生きる人々がいます。
国全体が貧しく、明日の食事の保証もなく、飢えに細る子どもを抱える親たちがいます。
夜空に響くのは虫の音ではなく、空爆の轟音だという土地もあります。
眠りにつくとき、朝もう一度目を覚ませるかどうか、確信を持てない人々がいるのです。
彼らの苦しみを思うとき、私の胸はきしみます。
そして同時に、深い気づきがやってきます。
私が今、その苦しみの中にいないということ。
それは、決して私の手柄ではありません。
ただ恵まれている。それだけのことなのです。
不平不満は、よくないものを呼び込む
ここに、目に見えない法則があります。
私たちが心の中で抱く思いは、似た波長のものを引き寄せます。
嬉しさやありがたさで満たされた心は、次の喜ばしい出来事を呼び寄せます。
うれしいという思いそのものが、まるで磁石のように、次のよい縁を手繰り寄せていくのです。
逆もまた真です。
いつも不平を漏らし、足りないものばかりを数え、暗い気持ちでいると、その波長に応じた現実が、また訪れてしまいます。
不満は不満を呼び、嘆きは嘆きを連れてくる。
これは精神論ではありません。
私たちの内側の状態が、私たちの外側の世界を形づくっている。
心が現実の母胎なのです。
だからこそ、何を見つめ、何に心を向けるかが、その人の運命を分けていきます。
足りないものを数える人生か。
すでに与えられているものを数える人生か。
その選択が、毎朝、あなたの目の前に置かれています。
感謝は、人を被害者の座から立ち上がらせる
感謝には、もうひとつ深い働きがあります。
不平を抱いている人は、心のどこかで自分を被害者の位置に置いています。
世界が自分に何かをしてくれない、社会が自分を冷遇している、運が自分に味方しない。
その姿勢でいる限り、人生の手綱は常に外側にあります。
ところが「今あるものに感謝する」と決めた瞬間、人は受け取る側に回ります。
すでにこれほど多くを与えられていた、と気づく側に立つのです。
与えられていると気づいた人は、もう奪われた人ではありません。
満たされた人として、世界に向き合えるようになります。
私はこれまで多くの相談者と向き合ってきました。
苦境を抜け出していく人に共通していたのは、状況が劇的に変わったからではありませんでした。
まだ何も解決していない段階で、それでも今ある小さな恵みに目を留め、ありがとうと言える心を取り戻していた。
その心の転換こそが、現実が動き出す最初の一歩だったのです。
今日からできる、感謝の小さな習慣
では、何から始めればよいのか。
難しいことは何もいりません。
今夜、眠りにつく前に、目を閉じて、今日一日を静かに振り返ってみてください。
そして、悪いことが起きなかった、という事実に目を向けます。
大きな病に倒れることなく、今日も体が動いてくれた。
事故に巻き込まれることなく、家に帰り着けた。
屋根の下で、温かいものを口にできた。
空爆に怯えることなく、布団に入って眠れる。
ひとつひとつに、心の中で「ありがとう」と言葉を添えてみてください。
たったこれだけです。
三日も続ければ、あなたは気づくはずです。
自分の毎日が、実はおびただしい恵みで満ちていたことに。
悲惨なことが起こっていない、この何でもない今。
その今への感謝こそが、あなたの運をゆっくりと、しかし確かに開いていきます。
明日の朝、目を覚ませたなら、それだけで、あなたはもう十分に幸運の中にいます。
その幸運から、新しい一日を始めていきましょう。
感謝から運を開く実践は、開運・運気の実践完全ガイドに流れとして並べています。
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