引っ越した土地に馴染めない、その違和感には理由があります
新しい土地に越してきて、もう何年も経つのに、どこか落ち着かない。友達もできて、暮らしそのものは回っているのに、ふとした瞬間に「ここにいるのが嫌だ」という気持ちが胸をよぎる。
今回いただいたご相談は、嫁いで来られて14年というかたからのものでした。
14年です。
それだけの歳月を重ねてもなお消えない違和感を、ご自身では「ただの思い込みかもしれない」とおっしゃっています。
私はその言葉を読んで、まずお伝えしたいことがあります。
それは思い込みで片づけてしまわなくてよい、ということです。
人と土地のあいだには、目には見えない結びつきがあります。
この記事では、土地を守る氏神様という存在についてお話ししながら、新しい土地と心を通わせていくための具体的な手立てをお伝えします。
読み終えるころには、その違和感とどう向き合えばよいのかが見えてくるはずです。
土地には、その土地を守る氏神様がいます
日本には古くから、それぞれの土地を守る神様がいると考えられてきました。それが氏神様です。
もともとは血のつながった一族を守る神様を指した言葉でしたが、長い時間のなかで、その土地に住む人々を守る神様という意味へと広がっていきました。
今では、あなたが暮らしている地域そのものを見守ってくださる神様、と考えてよいと思います。
家に大家さんや管理人さんがいるように、土地にもその場を治めるかたがいる。
そう考えると、引っ越しというのは、新しい家主さんのいる場所へ移っていく行いだといえます。
新しい職場に入ったら、まず周りのかたに挨拶をしますね。
それと同じで、新しい土地に来たなら、その土地を守るかたへひとこと挨拶をしておく。
これがあるとないとでは、土地との関係のなじみ方が変わってきます。
引っ越してから何かと物事がうまく運ばない、トラブルが続く、なぜか心が休まらない。
そういうときは、まだその土地と正式な顔合わせができていないのかもしれません。
氏神様への挨拶がまだなら、一度参拝してみてください
ご相談くださったかたへ、私がまずおすすめしたいのは、その土地の氏神様への参拝です。引っ越して来られたときに、氏神様へのご挨拶はもうお済みでしょうか。
もしまだであれば、一度足を運んで、この土地で無事に過ごせますようにとお願いしてみてください。
14年経ってからでは遅い、ということはありません。
神様は時間を数えてはおられません。
あなたがその気持ちになった今日が、ちょうどよいときです。
土地を移ってから何かしらの問題が起こるとき、まず立ち返るべき場所が、その地の氏神様の神社なのです。
そして、もし参拝を重ねても暮らしの息苦しさが変わらないようなら、そのときは引っ越しという選択を考えてみてもよいと思います。
ただ、その判断をする前に、まずは土地とちゃんと向き合う。
順番として、私はそれを大切にしていただきたいのです。
自分の地域の氏神様の調べ方
では、自分の住む土地の氏神様は、どうやって知ればよいのでしょうか。いちばん早いのは、昔からその地域に住んでいるご近所のかたに尋ねてみることです。
土地に根を張って暮らしてきたかたは、たいてい近くの神社を知っておられます。
もしわからなければ、各都道府県には神社庁という窓口があります。
お住まいの都道府県の神社庁に問い合わせれば、あなたの地域の氏神様の神社を教えてもらえます。
神社本庁のサイトでは、全国各地の神社庁が案内されていますので、そこから連絡先をたどることができます。
氏神様への挨拶は、何か特別なものを用意する必要はありません。
鳥居をくぐる前に軽く一礼し、手水で手と口を清め、お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼で手を合わせる。
そのなかで、自分の名前と、新しくこの土地に来たことを心のなかで伝えるだけで十分です。
土地との縁は、こちらから歩み寄ることで深まります
古い日本の言葉に、和をもって貴しとなす、というものがあります。聖徳太子が定めたとされる十七条憲法の一節です。
人と人だけでなく、人と土地のあいだにも、この和は当てはまると私は感じています。
土地は、こちらが心を開けば、必ず応えてくれます。
ご相談者のかたは、14年のあいだに友達ができたとおっしゃっていました。
それは、すでにこの土地があなたを受け入れはじめている証です。
あとは、土地そのものとのご縁を、あなたのほうから少し深めていくだけなのです。
氏神様への参拝は、その第一歩になります。
神様にお願いをするというより、この土地に住まわせていただいています、と挨拶をしに行く。
そんな気持ちで足を運んでみてください。
今日からできること
新しい土地と心を通わせるために、無理なくはじめられることをお伝えします。一つめ。ご近所のかたか、お住まいの都道府県の神社庁に問い合わせて、自分の地域の氏神様の神社を調べてみてください。
二つめ。近いうちに一度その神社へ足を運び、名前を名乗り、この土地で無事に過ごせますようにと挨拶をしてください。
三つめ。朝起きたら、窓を開けて外の空気を吸い、おはようございますと土地にひとこと声をかけてみてください。
四つめ。散歩でかまいません、自分の住む地域をゆっくり歩き、その土地の好きな場所を一つ見つけてください。
五つめ。「ここが嫌だ」と感じた日は、それを否定せず、そう感じている自分にお疲れさまと声をかけてあげてください。
小さなことばかりですが、土地となじむというのは、こうした積み重ねのなかで起きていきます。
その土地に置かれたことにも、意味があります
最後に、ひとつだけお伝えしたいことがあります。あなたが今その土地で暮らしているのは、決して偶然ではありません。
人がある土地に住むとき、そこには魂が学ぶべき何かが用意されています。
馴染めないという感覚すらも、あなたがこの土地と本気で向き合おうとしているからこそ生まれているものです。
無関心であれば、違和感など覚えません。
あなたはこの14年、ちゃんとこの土地と関わってこられたのです。
氏神様への挨拶を済ませ、土地に少しずつ心を開いていくうちに、その息苦しさは必ずやわらいでいきます。
そしていつか、ここが自分の場所だと思える日がきます。
あなたの魂は、その土地でしか得られない成長を、今まさに積み重ねている途中なのです。
どうか焦らず、ご自身のペースで、この土地とのご縁を育てていってください。
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