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先日、水害はまだ終わらない 能登と千葉のあとに感じていることという記事を書きました。
その記事から一週間、次の空がもう動きはじめています。
台風24号は、通り過ぎてくれる形をしていません。
奄美と沖縄のあたりで足を止め、居座るように進む予想が出ています。
つまり、雨が長引きます。
そして同じ秋に、水が足りなくて困っている土地もあるのです。
台風24号は「抜けていかない台風」です
9月4日の朝の時点で、台風24号は奄美市の西北西およそ160キロの海上にあります。中心気圧は990ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は20メートル。
数字だけを見れば、猛烈な台風ではありません。
危ないのは強さではなく、動き方のほうです。
予想では、5日にはほぼ停滞します。
6日には那覇市の西南西あたりまで南に下がり、7日には南大東島の近海へ。
9日ごろに熱帯低気圧へ変わるまで、ずっと同じ海域をうろうろする形です。
進路の予報円も、24時間先で半径105キロ、72時間先では260キロまで広がっています。
これは「まだどこへ行くか決まっていない」という気象庁からの正直な合図です。
さらに、日本列島には秋雨前線が横たわっています。
台風が南の海から湿った空気を送り続け、その空気が前線にぶつかって雨雲を作る。
台風本体が来なくても、遠く離れた土地で強い雨が降る理由がここにあります。
なお、この数字は9月4日朝の予想です。
台風の進路はこれから変わります。
必ず最新の発表を確かめてください。
速い台風より、動かない台風のほうが水を積む
台風というと、強風で屋根が飛ぶ絵を思い浮かべる人が多いでしょう。けれども近年、人が亡くなっている原因の多くは風ではなく水です。
しかも、勢力が強い台風より、遅い台風のほうが総雨量は伸びます。
同じ場所に同じだけ降り続ければ、それだけ積み上がるからです。
一時間に30ミリの雨が3時間で去るのと、20ミリの雨が二日続くのとでは、地面の受け止め方がまるで違います。
前者は流れていきます。
後者は染み込み、地盤をゆるめ、山の斜面の重さを変えてしまう。
川も同じです。
上流で降った水が下流に届くまでには時間がかかります。
雨がやんだ夜に川が一番増えることは、めずらしくありません。
「もう降っていないから大丈夫」という判断が、いちばん危ないところ。
停滞型の雨のときは、時間の感覚を一日ではなく三日で持ってください。
その同じ空の下で、水が足りない土地がある
ここまでは警戒の話です。けれど今年の日本は、それだけでは説明がつかない状態にあります。
7月15日から8月28日までの雨量を、平年と比べた数字があります。
長崎市は平年の1パーセント。
熊本市も同じく1パーセントでした。
姫路市と徳島市は5パーセント、高松市は6パーセントにとどまっています。
ふだんの100分の1しか降らなかった土地が、この夏の西日本には実際にありました。
結果として、四国の吉野川水系では8月28日から香川県向けの新規用水を60パーセント削るという、第4次の取水制限に入っています。
千代川、山国川、筑後川、室生ダム、東播用水。
取水制限や節水の呼びかけは、いくつもの水系に広がりました。
片方の土地では、水が多すぎて命が危ない。
もう片方の土地では、水が足りなくて田んぼと暮らしが痩せていく。
同じ国の、同じひと夏の出来事です。
雨は、一つの味で降っている
法華経の薬草喩品に、雨の話が出てきます。一つの雲から降る雨は、どの草にも同じ一つの味で届く。
けれども大きな木は大きく、小さな草は小さく、それぞれの性質のままに育っていく。
雨のほうが相手を選んで降り分けているのではない、という意味の教えです。
聖書にも近い言葉があります。
「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」
雨は、誰かを罰するために落ちてくるものではありません。
私が霊的に見るとき、雨は「洗う働き」として映ります。
淀んだものを流し、たまった熱を下げ、土を柔らかくして、次の季節の準備をする。
大地にとっての浄化そのものです。
ただし、洗う力はいつでも強い。
その強さをどう受け取るかは、受ける側の器で決まります。
森が保水し、川が広く曲がり、田が水をためていた頃の日本は、大きな器を持っていました。
その器を私たちは、この数十年でずいぶん小さくしてきました。
山を裸にし、川をまっすぐにし、田を埋め、水の通り道をアスファルトで覆った。
雨の降り方が荒くなったのは事実です。
同時に、受け皿のほうも変わりました。
だからこそ、いま降る雨は災いにも恵みにもなります。
四国のダムに届けば、それは秋の稲と冬の暮らしを支える水になる。
裸の斜面に届けば、土砂となって家をのみ込む。
同じ一つの味の雨が、こちらの用意しだいで姿を変えるのです。
この雨で、渇いた土地は少し戻る
台風24号と秋雨前線がもたらす雨は、西日本の水不足を和らげる可能性があります。これは素直に、ありがたいことだと思います。
そのうえで忘れないでいてほしいのは、渇いた土地がずっと雨を待っていたという事実のほうです。
私たちは、水が出すぎたときだけ天気を憎み、足りているあいだは水のことを考えません。
蛇口をひねれば出るものが、空から来ていると意識する日は少ないでしょう。
この秋の雨は、そのことを思い出させにきているように見えます。
今日からできること
- 気象庁の「キキクル」で、自宅と職場の危険度を色で確かめておく。避難情報が出てから調べるのでは間に合いません
- 買い置きは一晩分ではなく三日分にする。停滞型の雨は、物流のほうが先に止まります
- 川や用水路を見に行かない。水位はスマホの河川カメラで見られます
- 車は明るいうちに高い場所へ移す。夜に強く降る予報なら、日暮れ前が動ける最後の時間帯です
- 家族の集合場所と、電話がつながらないときの合流の手順を、今日のうちに口に出して決めておく
いちばん危ないのは、備えを知らないことではなく、知っていて後回しにすることです。
空を怖がるのではなく、空と付き合う
雨をこわがって暮らす必要はありません。雨は日本という国の土をつくり、稲を育て、この島に人が住めるようにしてきたものです。
私たちの体も、七割ちかくが水でできています。
その水は、もとをたどれば全部、空から降ってきました。
だから雨に向ける気持ちは、怯えではなく敬意でいいと思うのです。
敬意を持つ相手には、こちらも礼を尽くします。
礼というのは、この場合、備えることです。
ハザードマップを開き、家族と話し、靴と懐中電灯を玄関に置く。
そういう手仕事の一つひとつが、空への返事になります。
この秋、雨は長く降るでしょう。
その雨が誰かの土地を洗い、誰かのダムを満たし、誰かの田を潤していきます。
どうか、あなたのいる場所が満たされる側でありますように。
そのために今日できることを、一つだけでも始めてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
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