宇宙が何かを私たちの人生にもたらすとき、それを受け取り拒否したり、必死に抵抗しても、たいていは無駄に終わります。差し出されたものを押し返そうとして、私たちは多くの力を使います。けれどその力は、ほとんど報われません。流れに逆らって泳ぎ続ける魚のように、疲れだけが残っていく。宇宙がもたらしたものは、それを変えようとあがいても、空しい努力になっていきます。
自分の生まれた環境を呪っても、運命に悪態をついても、それは天に向かって唾を吐くようなもので、やがて自分のところへ返ってきます。私はこの返りの法則を、人生のあちこちで見てきました。境遇を恨み続けた人ほど、その恨みに足を取られ、前へ進めなくなっていく。逆らった生き方は、知らないうちに苦難を引き寄せています。
抵抗する生き方が、なぜ苦しみを呼ぶのか
たとえば、思いがけない病をきっかけに仕事を辞めることになった人がいるとします。その人が「なぜ自分だけが」と問い続け、過去に戻ることばかりを願って日々を過ごせば、心はずっと痛み続けます。失ったものを数えるたびに、傷が開いていく。これは病そのものの苦しみとは別の、抵抗が生み出した二つ目の苦しみです。
宇宙がもたらした出来事を変えることはできません。けれど、その出来事をどう受け止め、そこから何を作るかは、いつでも私たちの手の中にあります。同じ病をきっかけに、立ち止まって自分を見つめ直し、新しい生き方を見つけていく人もいます。出来事は同じでも、抵抗するか受け止めるかで、その先の景色はまるで変わります。
子どものように「あっちの方がよかった」「別なものが欲しかった」と泣き叫ぶ気持ちは、誰の中にもあるものです。私自身、そう思った時期がありました。けれど泣き叫んでいるあいだ、宇宙は味方をしてくれません。手元のものから目をそらしている人に、宇宙は次のものを渡しにくいのです。
与えられた材料で、最高の作品を作る
私たちはみな、それぞれ違う材料を手にしてこの世に生まれてきます。生まれた家、体、才能、出会う人々。これらは自分で選んだものではなく、宇宙から手渡された材料です。料理人にたとえるなら、目の前にある食材で献立を考えるしかありません。隣の厨房の食材をうらやんでも、自分の鍋には何も入りません。
宇宙を味方につける道は、ここにあります。与えられた材料を素直に受け止め、そこから自分にしか作れない作品を生み出していくこと。粗末に見える材料からでも、工夫を重ねれば心に残る一皿が生まれます。前世から運んできた縁や、今の環境が手渡してきたものには、それぞれ意味があります。投げ捨てて別なものを求めて泣くより、いま手にあるもので何ができるかを考えるほうが、はるかに豊かな時間になります。
受け止めるとは、あきらめることではありません。むしろ、ここから始めるという前向きな決意です。材料を見極め、足りないものを工夫で補い、自分の手で形にしていく。その営みのなかで、人は本当の力を育てていきます。
他人と比べると、両方を失う
世の中には、せっかく良いものを持っているのに、それを否定して、他人の持ち物ばかりを好む人が多くいます。歌の才能を持つ人が、絵のうまい友人をうらやんで自分の歌をやめてしまう。そんな場面を私は何度も見てきました。比べることに心を奪われると、自分の手の中の宝が見えなくなります。
その結果どうなるか。歌をやめた人は、せっかくの才能を生かせません。そして借り物の絵筆を握っても、もともと持っていなかった才能はそう簡単には花開かない。求めたものも手に入らず、自分のものも失う。両方を失ってしまうのです。比較は、持っているものを薄めていく行いだと、私は思います。
他人と比べる時間を、自分の材料を磨く時間に変えてみてください。隣を見るのをやめて、手元を見つめる。それだけで、宇宙はあなたの味方に回り始めます。あなたに与えられたものは、あなたのために選ばれて届いたものです。
今日からできること
一つ、変えられない出来事を受け止める。すでに起きたことや生まれた環境を呪う代わりに、ここから何を作れるかへ意識を移してください。
一つ、自分の材料を書き出す。体、才能、出会った人、これまでの経験。手元にあるものを紙に並べると、思っていたより豊かなことに気づきます。
一つ、他人と比べる時間をやめる。うらやむ気持ちが湧いたら、その視線を自分の手元へ戻す。比較は両方を失う道だと思い出してください。
一つ、粗末に見える材料で工夫してみる。不利に思える条件こそ、あなただけの作品を生む種になります。小さな工夫から始めましょう。
一つ、与えられたものに感謝を向ける。今あるものを認めて礼を言う人のところへ、宇宙は次のものを運んできます。受け取る器を整えてください。
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