今月17日、フランス全土でガソリン代の高騰などに抗議するデモが行われ、55万人が参加して、その一部が暴徒化しました。
19日にはイタリアのミラノにも飛び火し、商店の略奪まで起きています。
資源大国のロシアを制裁すれば、制裁した欧州のほうが苦しむ事になると、こちらでは以前からお伝えしてきました。
その火の粉は、この冬の日本の灯油にも降りかかろうとしています。
フランス全土55万人のデモとイタリアへの飛び火
フランス内務省によれば、デモは国内110か所で行われ、一部の参加者が治安部隊とぶつかりました。
複数の都市で放火や略奪が起こり、鎮圧にあたった警察官のうち60人がけがをして、2人は意識不明だと報じられています。
拘束された人は、ルコルニュ首相の発表で1200人にのぼりました。
パリのレピュブリック広場では、覆面の集団が警官隊に花火や敷石を投げつけ、警察は催涙ガスと放水銃で応じています。
きっかけは、2018年に燃料税への怒りから広がった黄色いベスト運動を、もう一度起こそうというSNSでの呼びかけでした。
そこに、学校の環境を良くしてほしいと訴える高校生や大学生、教員や親たち、労働組合、農家、年金暮らしの人までが加わっています。
ボルドーでは百貨店が大きな被害を受け、高級ブティックやスポーツ用品店も略奪の標的になりました。
フランスで足りないのは、お金だけではありません。
19日の時点で、国内のガソリンスタンドのおよそ14%が何かしらの燃料を切らし、まったく給油できない店も数百に及んでいるそうです。
マクロン大統領は週末の混乱のさなかにも、予定どおり湾岸の産油国をまわり、燃料の確保に動いています。
イタリアでは、ミラノで271人が拘束され、うち28人が窃盗などの疑いで送検されました。
抗議はトリノやボローニャにも広がり、燃料高に抗議するトラック運転手たちが、ナポリ港を一時ふさいでいます。
霊的に見ると、怒りの念は一人の胸の内にとどまらず、同じ苦しみを抱えた人の心へと次々に移っていきます。
山火事が風に乗って尾根を越えるように、暮らしに追い詰められた人々の怒りが、集合意識の中で国境を越えて燃え広がっているのです。
怒りに呑まれた魂は、本来持っている光を見失い、自分たちの街を壊す側へと回ってしまいます。
ロシアを制裁した欧州が自分の首を絞めている
いまのフランスとイタリアの姿は、制裁の代償を払わされている欧州の姿そのものです。
EUはウクライナを支援し、ロシアのエネルギーから手を引く方針を法律にまで落とし込みました。
ロシア産LNGは短期契約での輸入が今年4月から禁じられ、長期契約も来年1月に止まり、パイプラインのガスを含めて来年末までにすべて断つ計画です。
エネルギー価格がまた跳ね上がった9月の時点でも、EUは制裁を緩めるどころか、強める構えを崩していません。
隣で安く手に入るものを自分から断ち、遠くから高いものを買う。
その差額を最後に払わされるのは、ガソリンスタンドの列に並ぶ普通の人たちです。
ウクライナを守りたいという思いそのものは、人として理解出来ます。
けれども、相手を苦しめるつもりで投げた石が、自分のもとへ返ってくるのがこの世の仕組みです。
仏教で説かれる因果の法則は、人の魂の上にだけ働くのではありません。
国と国の間でも、まったく同じように働きます。
ホルムズ海峡の封鎖と、迂回路を狙うフーシ派
ロシアから離れた欧州が頼った先は、中東でした。
ところが今年2月28日、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃に踏み切り、イランはホルムズ海峡を封鎖します。
ホルムズ海峡は世界の原油のおよそ2割が通る要の海で、国際エネルギー機関の事務局長は、ここが詰まった影響を、1973年と79年の石油危機と2022年のウクライナ危機を合わせたよりも深刻だと述べました。
その後、迂回する航路が少しずつ整い、秋口には一日およそ500万バレルが海峡を通るところまで戻っています。
日本も、UAEのフジャイラ港や、サウジアラビアの紅海側の港を使う迂回ルートで原油を運んできました。
ここにきて、その迂回路そのものが狙われ始めています。
サウジアラビアと、イエメンのシーア派武装組織フーシ派の戦闘は、7月に再燃してから激しさを増すばかりです。
フーシ派は9月末に紅海側のヤンブーにあるアラムコの施設を、10月3日には首都リヤド近郊の石油施設を、ミサイルと無人機で攻撃したと主張しました。
リヤドでは炎と黒煙が上がり、衛星写真では少なくとも三つの貯蔵タンクが燃えている様子が確認され、ブレント原油は1バレル100ドルを超えています。
ヤンブーは、ホルムズ海峡を通らずにサウジの原油を紅海へ出すための出口です。
表玄関をふさがれたので裏口から荷を出していたら、その裏口にまで炎が回ってきた事になります。
アメリカの軽油高騰と、この冬の日本の灯油
苦しんでいるのは欧州だけではありません。
アメリカでは軽油の値段が過去最高を更新し、10月には1ガロン6.5ドルを超え、去年より2ドル以上も高くなりました。
軽油はトラックだけでなく、トラクターやコンバインといった農業機械を動かす燃料ですから、ちょうど秋の収穫期に重なった農家は悲鳴を上げています。
運ぶ費用と、作る費用の両方を押し上げるので、やがて食べ物の値段にまで跳ね返ってくるのが軽油の怖さです。
トランプ大統領は10月5日に軽油の負担を軽くする大統領令に署名し、9日にはプーチン大統領と電話で話したうえで、ロシアから軽油の供給を受けると発表しました。
国民の暮らしを守るためなら、制裁してきた相手とも話をつけて燃料を取りに行く、現実を見た判断です。
これから北半球は冬に入り、寒さが一段と厳しくなれば、暖房に使う灯油の値段が次の山になります。
日本も対岸の火事ではありません。
北海道の釧路市では、5月の時点で灯油の配達価格が1リットル150円を超え、比べられる1990年度以降で初めての水準になりました。
10月16日には赤澤経済産業大臣が、割高な海外産の灯油を輸入する際に補助を出すなど、灯油の価格高騰への対策を打ち出しています。
日本は3月から民間と国の石油備蓄を放出し、迂回ルートでの調達も重ねて、どうにかしのいできました。
それでも備蓄には底があり、迂回路まで攻撃を受けるようになれば、いまのしのぎ方はいずれ利かなくなります。
イランをめぐる緊張に加えて、サウジとフーシ派の戦いが収まらないかぎり、この冬は灯油代の請求書を見てため息をつく家庭が、日本でも増えていくはずです。
霊的に見た物価高と、冬への備え
霊的に見ると、いま世界で起きている事は、争いの念がエネルギーの流れを詰まらせている姿として映ります。
石油もガスも、もとは地球が長い時間をかけて蓄えてきた恵みです。
その恵みを、相手を締め上げる武器として使い始めたところから、流れはねじれていきました。
制裁と報復、攻撃と封鎖が重なるたびに、恵みの通り道がひとつずつふさがれていきます。
人の体で言えば、怒りで血管が縮み、手足の先まで温かい血が届かなくなっている状態です。
その手足の先にいるのが、灯油を買いに行くお年寄りであり、燃料代に追われる運送業者や農家の方々です。
物価高に追われると、心まで冷えて、魂の光までかげってしまいそうになります。
暴徒化したデモの映像を見て、明日は我が身かと不安になった人も多いはずです。
魂の学びという目で見れば、こうした時期は、目に見える豊かさの土台がいかに脆いかを知り、本当に頼れるものは何かを見直す時でもあります。
光の側に立つというのは、怒りの連鎖に加わらない事です。
政府や他国を恨む念を送るより、家族や近所の人と、この冬をどう乗り切るかを話し合うほうが、その場の波長をずっと明るくします。
灯油やガスは値上がりの山が来る前に少しずつ蓄え、窓や戸口から暖かさを逃がさない工夫をしておく事です。
一人暮らしのお年寄りが近くにいるなら、ひと声かけておくのもいいでしょう。
そのうえで、争いの当事者たちの心がやわらぎ、地球の恵みの流れが元に戻るよう祈ってください。
怒りが集合意識の中で国境を越えて連鎖したように、祈りの光もまた、人から人へと連鎖していきます。
欧州のデモの暴徒化は、資源大国を制裁した側が、その代償を自国の暮らしで払わされている姿です。
ホルムズ海峡の封鎖とサウジをめぐる戦火が重なって、その代償はアメリカの軽油にも、この冬の日本の灯油にも及ぼうとしています。
備えを固めながら、怒りではなく祈りを選ぶ事が、厳しい冬を越えていく魂の力になります。
みなさまも、どうか体を冷やさず、この冬を無事に乗り越えていかれてください。
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