9月10日の朝、サウジアラビアの東西パイプラインが攻撃を受けて止まりました。
この一報を日本のテレビで見た方が、どれだけいるでしょうか。
リヤド州とメディナ州の二か所が狙われ、サウジ当局は攻撃がイラクの方角から飛んできたものだと説明しています。
イラク側は軍の司令官を一人更迭しました。
夜のニュースはほとんど触れず、新聞でも国際面の隅に小さく載った程度です。
今年に入って世界で起きた出来事のうちで、これは指折りに重いものだと見ています。
迂回路の管が断たれました
東西パイプラインは、ペルシャ湾側の油田から紅海側のヤンブ港まで、砂漠を1,200キロ横断して原油を送る管です。
ペトロラインとも呼ばれています。
ホルムズ海峡が事実上閉ざされてから、この一本がサウジの輸出をほぼ一手に引き受けてきました。
直近の数か月に流れていた量は、日量400万から500万バレル。
世界で使われている石油の4〜5%が、この管を通っていた事になります。
管が止まった翌日の9月11日には、イエメンのフーシ派が紅海の入口にあるペリム島を押さえました。
バブ・エル・マンデブ海峡を見下ろす位置の島です。
ホルムズ海峡が閉じ、迂回する管が止まり、その迂回路の出口にあたる海峡まで押さえられたのです。
原油価格は1バレル100ドルを超えました。
サウジの皇太子はトランプ大統領に二度電話をかけて軍事的な支援を求めましたが、アメリカは直接の介入を断り、情報の提供にとどめています。
ヤンブから積み出されていた原油の行き先は、その多くがアジアでした。
中国、日本、韓国が同じ荷を待っていた形になりますので、この先は東アジアのなかで取り合いが起こります。
こちらでは以前から、石油危機は表に出てくると述べてきました。
管一本と海峡一つに一国の暮らしを預けてしまえば、そこが狙われるのは避けようがありません。
便利さを取って危うさを見ないでおく癖は、国にも個人にも同じように付いていて、魂はそこを試されているのです。
アメリカの備蓄が、支えを続けられなくなります
ここまで世界の石油がどうにか回ってきたのは、アメリカが戦略石油備蓄を放出して穴を埋めてきたからです。
その備蓄が、いま底を見せ始めました。
年の初めに4億1,500万バレルあったものが、8月10日の週には2億9,870万バレルまで落ちています。
1983年1月以来の低さです。
一週間で610万バレル減った週もありました。
3月に決まった1億7,200万バレルの放出が終われば、残りは2億4,300万バレルほどになり、法律が定める下限の2億5,240万バレルを割り込みます。
7月に会計検査院が出した報告によれば、設備が古くなっているせいで、設計上の6割ほどの速さでしか汲み出せないそうです。
帳簿に残っていても、要る時に出てこない備蓄という事になります。
放出分の大半は売却ではなく企業への貸し出しで、最大28%の割増しを付けて返す約束になっています。
返すための原油を、どこから買うのでしょうか。
その買い手が市場に現れた時、価格はもう一段上がるのです。
数字の裏で動いているのは、奪える物を先に押さえておきたいという心で、魂の目から見ればそこがいちばん危ういところです。
日本だけが、我慢を求めていません
日本が輸入する原油の9割以上は中東から来て、その大半がホルムズ海峡を通ってきました。
依存という言葉では足りません。
一本の海峡に、国の暮らしがぶら下がっている形です。
国家備蓄の放出はすでに始まっていて、民間の試算では、いまの調達水準が保てた場合に備蓄が尽きるのは2027年の秋あたりとされています。
調達がさらに細れば、2027年の春まで早まるという見方も出ました。
目を引くのは、主要国のなかで日本だけが需要を抑える措置を取っていない事です。
節電の要請も、燃料の割り当ても、走行の制限も出ていません。
供給を足す事だけで乗り切ろうとしているのです。
第一次石油危機の時と同じ15%の電力削減を課した場合、実質GDPは1年で0.94%押し下げられるという試算もあります。
先送りした痛みは、利息を付けてあとから回ってきます。
国の舵取りにも魂の姿勢はそのまま出ますので、痛みを語らない政治が続くうちは、国民の側が先に目を覚ますしかありません。
霊的に見ると、奪い合いの構図が地表に出ています
ここからは霊的な見方をお伝えします。
石油の奪い合いは、いまに始まった事ではありません。
地下から掘り出した力で文明を回し、その配分をめぐって人類は百年以上も争ってきました。
霊的に見ると、いま起きているのは新しい事件ではなく、長く伏せられていたものが地表に出てきた場面です。
老子は、禍いは足るを知らない事より大きなものはないと説きました。
足るを知らない側が通り道を押さえ、押さえられた側がまた別の道を探し、その繰り返しの果てに、管も海峡も残らなくなりつつあります。
魂の視点で見れば、これは人類が自分で選んだ生き方の結果が形になったものです。
物質のうえに幸福を積み上げてきた文明が、その土台の細さを見せられています。
光の側から見れば、こうした締め付けは人々が内側を向き直すために働きます。
光は天から一方的に差してくるのではなく、困った時に人が互いへ差し出す手のうちに現れるのです。
暮らしが軋み始めた時に、人は初めて何が要るもので何が飾りだったかを見分けるのです。
魂は物を失う場面で痩せるのではなく、むしろそこで太くなっていきます。
この一連の流れを見ていて、いよいよ切り替えの時期に入ったと私には感じられました。
今から出来る備え
不安を抱えたまま日を過ごすより、手を動かすほうが心は落ち着きます。
- 灯油とガソリンは、値が上がってからではなく、手に入る時に余裕を持って手当てしておく
- 停電と物流の遅れを前提に、水と食料と携帯用の燃料を二週間分そろえておく
- 電気と灯油に頼りきらない暖の取り方を、この冬までに一つ用意しておく
- 値上がりの波は食品と日用品に半年ほど遅れて来るので、家計の固定費を今のうちに削っておく
- 朝晩に短くてよいので、中東の地で傷ついている人々のために祈る時間を持つ
備えは恐れから始めて構いませんが、備え終えた人は落ち着いて日々を送れます。
手の届く範囲を整えておくと、魂が要らぬ揺れ方をしなくなります。
物が無くなる前に動いた人と、無くなってから動いた人とでは、この先の一年の暮らしぶりははっきり違ってくるのです。
備えた分だけ心に余白ができて、その余白が人を助ける側へ回してくれますので、そこに光が集まってきます。
サウジの管が止まり、アメリカの備蓄が底を見せ、日本だけが我慢を求めずにいます。
石油をめぐる三つの支えが、同じ時期に細りました。
この先の冬は、これまでとは違う冬になります。
厳しい時期ほど魂は鍛えられますので、慌てず、一つずつ手を打っていかれてください。
みなさまが落ち着いて、この冬を無事に越えていかれますように。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
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