人が他人になしたことは、いずれかならず自分のところへ返ってきます。誰かを傷つければ、めぐりめぐって自分も傷つけられる。誰かを批判し、攻撃すれば、いつか同じように批判される立場に立たされる。これは古今東西の教えが繰り返し語ってきたことで、私たちはそれを因果応報と呼んできました。逃れようとして逃れられるものではありません。今日まいた種は、形を変えて、時を経て、かならず実を結びます。
ただ、ここでひとつ知っておいてほしいことがあります。その因果は、いつも本人にまっすぐ返ってくるとはかぎりません。ときには、自分に返るよりも先に、子供のほうへ向かってしまうことがあるのです。これは脅しでも怖い話でもありません。子供を持つ親に、ぜひ静かに受け取ってほしい霊的な事実です。
子供は念を弾く力がまだ弱い
大人は、長く生きてくるあいだに、知らず知らずのうちに自分を守る力を身につけています。誰かから向けられた不快な思いや、とげのある感情を、ある程度まではね返すことができる。多少の悪意を浴びても、そのまま素通しさせず、自分のところで受け止めて流せるのです。これは目には見えませんが、心の周りにそなわった一種の力です。
けれども、生まれて間もない子供には、その力がまだ十分にそなわっていません。心の境界線がやわらかく、外から来るものをそのまま受け取ってしまいやすい。やさしさも、まっすぐ吸い込みます。けれど同じように、誰かが親に向けた重い感情も、弾けずに吸い込んでしまうことがあるのです。子供が無防備であることは、愛されて育つうえではこのうえなく尊い性質です。だからこそ、その無防備さを守るのは、まわりにいる大人の役目になります。
親の作った念が、子に向かうとき
たとえば、親が職場や近所づきあいのなかで、誰かと激しくぶつかったとします。言葉で相手を打ち負かし、その場では勝ったように見えても、相手の心には消えない恨みが残ることがあります。その重い思いは、行き場を求めて、いちばん弾く力の弱いところへ流れていきます。それが、その家の子供であることがあるのです。
そうして、親本人ではなく子供のほうが、説明のつかない怪我をしたり、体調を崩したり、なぜか巻き込まれなくてもよいトラブルに巻き込まれたりする。私はこうした相談を、これまで数えきれないほど受けてきました。もちろん、子供の不調のすべてがこれで説明できるわけではありません。けれど、家庭の人間関係がこじれている時期に、子供のほうへ影が差すことは、たしかにあるのです。これを知っているだけで、親としての日々のふるまいは、おのずと変わってくるはずです。
子供は、まわりに愛されて育つのがいちばんの守り
では、どうすればわが子を守れるのか。答えはとてもシンプルで、子供がまわりのみんなから愛されて育つようにすることです。家族はもちろん、ご近所の人、子供と関わるすべての人から、あたたかい思いを向けられている。その状態こそが、何よりも強い守りになります。
逆に、誰かから子供に対して不快な思いを持たれているとき、良いことは起きにくいものです。そしてその不快な思いの種は、子供自身のふるまいよりも、親の言動からまかれていることが少なくありません。だからこそ、子供のためを思うなら、親がまず、他人を傷つける言葉や態度に気をつける必要があります。これは我慢して角を立てないようにするという話ではなく、自分の心を穏やかに保ち、誠実に人と関わるという、もっと根のところの生き方の話です。
親が穏やかであれば、その家には穏やかな気が満ちます。親が誰のことも悪く言わずに暮らしていれば、その姿を見て育つ子供もまた、人から好かれる子に育っていきます。子供を守る一番の方法は、特別なお守りでも、難しい作法でもありません。親自身が、毎日を穏やかに、人にやさしく生きること。それが、目には見えないけれど確かな盾になって、わが子を包んでくれます。
今日からできること
一つ、人と意見が食い違ったときも、相手を打ち負かそうとしない。勝ち負けではなく、おだやかに着地できる言葉を探してみてください。その姿勢が、家の気を守ります。
二つ、誰かのことを悪く言いたくなったら、ひと呼吸おく。口から出た重い言葉は、いちばん弱いところへ流れていきます。子供の顔を思い浮かべてから話しましょう。
三つ、子供と関わる人に、こちらから感謝を伝える。先生やご近所の方へのひとことのお礼が、子供のまわりにあたたかい思いの輪を広げてくれます。
四つ、家のなかで、笑顔と「ありがとう」を増やす。親が機嫌よく暮らしていること自体が、子供にとっての見えない守りになります。
五つ、誰かを恨んでいる気持ちに気づいたら、静かに手放す。その重さを抱えたままにしないことが、自分のためにも、子供のためにもなります。
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