「もっと運が良くなったら幸せになれるのに」「いつか幸運が舞い込んだら、今のこの息苦しさから抜け出せる」。多くの人がこう考えながら、毎日を過ごしています。良いことが起きてほしいと願う気持ちは自然なものですし、私も若い頃はそう考えていた時期があります。
けれども霊的な視点から見ていくと、「いつか幸運が訪れたら幸せになる」という願い方には、ひとつ大きな落とし穴があります。今日はその仕組みと、運の流れを変えるための小さな発想転換について書いていきます。
「幸せになりたい」と願うほど、なぜ幸せから遠ざかるのか
「幸せになりたい」と口に出すとき、私たちは無意識のうちに前提を置いています。それは「今の自分は幸せではない」という前提です。つまり願えば願うほど、自分自身に「あなたは今、幸せではない人ですよ」と言い聞かせ続けてしまうわけです。
人間の思いは、時間をかけて少しずつ現実化していきます。だから「今は幸せではない」という前提を毎日繰り返していると、その前提に見合った状況、つまり何かが足りない状況や満たされない出来事を、自分で引き寄せてしまうのです。良かれと思って願ったことが、逆方向に働いてしまう。これはとても切ない仕組みです。
猫が自分の尻尾を追いかけるように
このときの様子は、猫が自分の尻尾をぐるぐる追いかける姿によく似ています。捕まえたつもりが、ほんの一歩先に逃げていく。必死に走り回るのに、結局つかめないまま疲れだけが残る。幸運をひたすら追いかけている時の私たちは、まさにこの猫と同じ動きをしているのかもしれません。
追いかけている限り、対象は前に逃げ続けます。仕事、お金、恋愛、健康、人間関係。どの分野でも同じ構造が働いていて、ほしい、ほしいと焦るほど、それを持っていない自分を強化することになります。走ることをいったんやめて、その場で座り直す。これが運の流れを変える最初の一歩です。
発想を逆転させ、今ある幸せを数える
追いかけるのをやめたら、次にしてほしいのが発想の逆転です。「自分は今、どれだけ恵まれた環境にあるか」を、ひとつずつ確認していくのです。屋根のある場所で眠れること、温かい食事を口にできること、話せる相手が一人でもいること、目が見え耳が聞こえること、明日の予定を立てられること。
当たり前のように感じていることほど、実はとても大きな恵みです。生きているという事実そのものに、ありがたさを感じてみてください。最初は形だけでも構いません。続けていくうちに、心の奥にじんわりとした温かさが広がってきます。すると不思議なことに、いくら追いかけてもつかめなかった幸運の尻尾が、いつも自分のすぐそばについてくるようになります。
ウィリアム・ジェームズの言葉が教えてくれること
アメリカの哲学者で心理学者でもあったウィリアム・ジェームズは、こんな言葉を残しています。「我々は楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」(We don't laugh because we're happy, we're happy because we laugh.)。
この言葉は感情の順番についての話ですが、運についても同じことが言えます。「幸運が訪れたから幸せになる」のではなく、「今ある幸せに気づいた時、私たちは幸運と共にある」。順番を入れ替えるだけで、見える景色が変わります。幸運は遠くから訪ねてくる珍しい客ではなく、もう家の中にいる古い友人だった、と気づくような感覚です。
感謝の習慣が運の通り道になる
感謝の気持ちを持つと、体の周りを取り巻く目に見えないエネルギーがやわらかく整っていきます。霊的に見ると、人は感謝の波動を出している時、上の世界からの光をいちばん受け取りやすい状態になります。だから感謝を口にする人のところには、自然と良い縁、良い出来事、必要な助けが流れ込んでくるのです。
反対に、不平不満や「足りない」という思いを抱え続けていると、上からの光をはじき返してしまいます。同じ部屋にいても、片方には光が届き、もう片方には届かない。その違いを生んでいるのは、外側の状況ではなく、その人の内側の向き方なのです。
今日からできること
一つ、朝起きたら「今日も目が覚めた」と心の中で言ってみてください。当たり前のことに見えて、これは決して当たり前ではありません。生きて新しい一日を迎えられたという事実だけで、すでに大きな恵みを受け取っています。
一つ、寝る前に今日あった小さな幸せを三つ思い出してみましょう。大きな出来事でなくて構いません。コーヒーが美味しかった、空がきれいだった、誰かが笑顔を向けてくれた。書き出すとさらに効果的です。
一つ、「幸せになりたい」を「今この瞬間、幸せである」と言い換えてみてください。最初は嘘くさく感じても続けてください。言葉の前提が変わると、潜在意識への入力も変わっていきます。
一つ、不平不満が口から出そうになったら、ひと呼吸置いてみましょう。その場面の中に小さな恵みが隠れていないか探してみるのです。視点が一段上がると、同じ出来事がまったく違う色に見えてきます。
一つ、誰かに「ありがとう」と声に出して伝えてください。家族でも、店員さんでも、すれ違っただけの人でも構いません。感謝の波動は伝えた相手だけでなく、自分自身を最初に包んでくれます。その温かさが、明日の運を呼び込む通り道になります。
今ある幸せに気づくところから始まる引き寄せは、幸福完全ガイドの章で一本の流れになります。
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