ある一匹の猫が玄関先に現れてから、なぜか良いことが続くようになった。
そんな話を聞くと、多くの人は半分は本気で、半分は照れ笑いで「この子は招き猫かもしれない」と言います。
今回お伝えしたいのは、それを単なる気のせいで片づけてしまわなくてもよい、ということです。
猫が幸運を運ぶことは、確かにあります。
ただしその仕組みは、私たちが思っているよりもずっと、自分自身の心の動きと深く結びついているのです。
黒猫がなついてから幸運が続く。それは偶然なのか
ご相談の内容は、友人の家に野良の黒猫が遊びに来るようになり、すっかりなついてしまった。
その頃から良いことが続くようになり、本人はその黒猫を「幸運を運んでくれた招き猫ではないか」と感じている、というものでした。
結論からお伝えすると、そういうことは実際にあると私は考えています。
ただし、猫が魔法のように外から幸運を投げ込んでくれる、というイメージとは少し違います。
一匹の猫が家にやってきたことをきっかけに、その家の人の心が変わり、変わった心が現実を引き寄せていく。
この順番こそが、招き猫の正体だと思うのです。
黒猫は昔から不吉だと言われることもありますが、それは地域や時代によって生まれた後づけの印象にすぎません。
日本では黒猫は魔除けや幸運の象徴とされてきました。
色そのものに力があるのではなく、その猫をどう迎え、どんな気持ちで関わったか。
そこに目を向けていただきたいのです。
愛情を注ぐと、その分が自分に返ってくる
猫が来て一番はじめに起こることは、家の人の感情が動くことです。
小さな生き物が自分を頼り、すり寄ってくる。
その姿に「かわいい」「いとおしい」という気持ちが自然とわいてきます。
人を責める気持ちや、先のことへの不安でいっぱいだった胸の中に、温かい感情が流れ込んでくるのです。
ペットを飼い、愛情を注ぐと、注いだ分はいずれ本人にも愛情となって返ってきます。
これは精神論ではなく、感情というものが持つ自然な性質です。
人は、自分が普段どんな感情で過ごしているかによって、引き寄せてくるものが変わっていきます。
不安や不満を握りしめている人のところには、似た出来事が集まりやすい。
反対に、愛情や安心を感じている人のところには、それに見合った出来事が訪れやすくなります。
猫を通してポジティブな感情が高まっていくなら、その人の周りに幸運が引き寄せられてくるのは、むしろ自然なことなのです。
幸福とは、すでに自分のなかにあるものに気づくことから始まる。
これは多くの賢人が、表現を変えながら繰り返し語ってきたことです。
仏教では、自分が他者に向けた思いや行いは、めぐりめぐって自分に返ってくると説きます。
慈しみの心で生き物に接することは、その人自身の心を耕す行いなのです。
猫はそのきっかけを、ただ存在することで与えてくれているのだと私は思います。
冷えた家庭が、一匹の猫で温まることもある
もうひとつ、見過ごせない働きがあります。
それは、ペットが家族の関係そのものを変えていくことです。
家族の関係が冷たくなり、会話が減っていた家を思い浮かべてみてください。
そこに一匹の猫がやってくる。
すると、ふだん口数の少なかった人が猫に話しかけ、それを見たもう一人が笑う。
「今日この子こんなことしてたよ」という他愛のない報告が、途絶えていた家族の会話を取り戻していきます。
猫は誰の味方でもなく、誰のことも責めません。
その無条件の存在が、こわばっていた家族の間にやわらかい空気を運んでくるのです。
猫に注がれた愛情は猫だけにとどまらず、その場にいる人どうしの心も温めていきます。
家庭が温かくなれば、家族一人ひとりの運気も自然と上向いていく。
これもまた、招き猫が幸運を呼ぶと言われる理由のひとつでしょう。
人を引き寄せる力を持つ猫もいる
ここまでは、人の心の側からお話ししてきました。
では猫の側に、何か特別な力はないのでしょうか。
昔から招き猫の置物が商売の場に置かれてきました。
あれは単なる飾りではなく、人々の素朴な実感が形になったものだと思います。
猫によっては、人をなんとなく引き寄せる力を多少持っているものもいるのかもしれません。
商売をしている家で飼われている猫が、店先に座っているだけでお客さんを招き寄せる。
そういうことは十分にありうると、私は感じています。
動物は人間よりも素直に、その場の気を映します。
穏やかで満ち足りた猫がいる家には、穏やかな雰囲気が漂い、人はそこに居心地のよさを覚えて自然と集まってきます。
猫が幸運を運ぶというより、幸運が集まりやすい場を、猫が一緒につくってくれている。
そう考えると、招き猫という言葉がぐっと身近なものに思えてこないでしょうか。
今日からできること
身近な動物との関わりを、運を呼ぶ習慣に変えていくために、できることをいくつかお伝えします。
一つ、猫やペットに接するとき、ほんの数秒でも「来てくれてありがとう」と心の中で伝えてみてください。
感謝の感情が、あなた自身の心の状態を整えます。
二つ、その日の猫の様子を家族に話してみましょう。
動物の話題は、誰も傷つけずに会話の糸口になります。
三つ、餌やりや世話を、面倒な作業ではなく愛情を注ぐ時間として味わってみてください。
注いだ気持ちは必ず巡って戻ってきます。
四つ、野良の猫であれば、無理に縛りつけず、来てくれたことそのものを喜びましょう。
見返りを求めない愛情ほど、純粋に自分を満たします。
五つ、猫がいない日も、植物や道ばたの生き物に同じまなざしを向けてみてください。
慈しみの心は、相手を選びません。
結び
一匹の猫がやってきて、人生が少し明るくなった。
それは幸運な偶然というより、あなたの心が愛情を取り戻したという、確かな出来事です。
招き猫の正体は、外からやってくる魔法ではありません。
生き物を慈しむことで開かれていく、あなた自身の温かい心です。
その心は、これからもさまざまな良いものを、あなたのもとへ呼び寄せていくでしょう。
目の前の小さな命を大切にする日々が、そのまま魂を育てる道になっていきます。
このブログでお伝えしているのは、魂の旅路への入口となる話です。
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