キジムナーの物語 ガジュマルに住む妖精

2020年1月14日火曜日

沖縄の話し 物語


キジムナーとは、ガジュマルという樹に住むとされる、沖縄の妖精です

仲良くなれば幸運を運んできてくれるともいわれます



私の実家の庭には、鉢に植えた小さなガジュマルがあります

私が本土へ仕事にいき、数年して地元に帰ってくると、その小さなガジュマルは一度ぜんぶの葉っぱを落として、もう枯れてしまったかと思ったら、また芽をだして生えてきます

それが二回ありました

昔の自分なら、ただの偶然だねっと気にもとめていなかったはずですが、今ではそれは私の疲れた心を癒すために、悪いものを葉っぱに吸い取って、落としていたのだなとわかります

実家から私も通っていた小学生へ行くまでの途中に、少し緑の残った場所があり、そこには立派なガジュマルの木があります

沖縄ではガジュマルの木には、キジムナーが住んでいると言われています

キジムナーとは、人間の子供くらいの背格好で、赤土色の肌に真っ赤な夕日のような長い髪をした妖精です

お腹はカエルみたいにぷっくりしてオヘソはありません

小学校の近くにあるヒゲをたくさんたくわえたガジュマルにはギムというキジムナーが住んでいます

ギムが一人の女の子の話しを聞かせてくれました

ギムの住むガジュマルがまだ若木だった時の話しです

その頃はまだガジュマルの木は、あたりにたくさん生えていて、ギムは仲間のキジムナー達と追いかけっこしたり、木登り競争したり、遊んでいました

隠れんぼをするときは、つかまえる役が木におでこをつけて十かぞえるうちに、みんなワーっと両手を広げて赤い髪をなびかせながら、クモの子を散らすように逃げて行きます

時々転んで赤土まみれになるキジムナーもいますが、全然へっちゃらで笑いながらまた駆け出していきます

他の子のガジュマルの中に隠れたり、池の中に隠れたり、土の中にもぐったりします

キジムナーは水中や土の中で息をしなくても平気だそうです

まるで忍者のようにして遊びます

でもたいていは水からあかい髪を出していたり、木からまるいお尻がとびだしていたりするので、すぐにみつかってしまいます

春になれば袋から草や木々の種をつまんで空き地にふりまいて、辺りを緑にそめます

夏になれば蝉やバッタたちと追っかけっこしたり、森の奥へと探検に出かけたりします

秋には、虫たちと一緒に夕暮れ時に歌ったり、葉っぱで作ったお舟で川わたりをして遊びます

冬は蓑虫みたいにガジュマルの木の中で落ち葉で作った寝袋にくるまりながら葉っぱのお手紙を読んだり返事を書いたり(キジムナーのあいだでは葉っぱに手紙を書いて木の溝に入れておくと、遠くの仲間にも送れるのだそうです。手紙といっても文字ではなく絵を書いて送ります)、相撲やおしくらまんじゅうをしてホカホカあったまって遊びます

そんなふうに、キジムナーたちは、春夏秋冬を毎日楽しく遊んで暮らしていました

そうして毎日すごしているうちにいつの間にか、ガジュマルの森の近くに人の家が建つようになりました

はじめは一軒の民家が建ったかと思うと、しだいに、二軒建ち、三軒建ち、あっという間に人の村が出来上がりました

キジムナーたちは、不思議そうに村人の様子を見ていました

ギムもガジュマルの木の大きな枝に腰掛けて村の様子をながめます

ときおり畑しごとで疲れた村人が、キジムナーの住むガジュマルの木陰で、汗を拭いながら休んだり、村の子供達がやってきて木のそばで遊んでいました

その日も子供たちがやってきて、ガジュマルに登ろうとしていたので、キジムナーたちは「やあっ」とか「こんにちは」とか挨拶しますが、彼らにはキジムナーの姿が見えないようで、いっこうに振り向きもしません

はじめはおもしろがって見ていたキジムナーたちも、しだいに飽きて、誰かがこのゆびとまれと言いながら駆け出すとみんなもワーっと叫びながらすすきの中へ走っていきました

ギムはその子たちについて人の村へとはじめていってみました

村には牛が一頭だけいて、畑を耕したり、トウキビを引くときには人間たちと一緒に仕事をしています

豚小屋もあって、たくさんの豚が鼻を鳴らしながら食事を楽しんでいました

ギムははじめて見る人間の村に興味しんしんで、探索していたときです

突然、唸り声をあげながら犬がギムに向かって走ってきました

びっくりしたギムは飛び上がって、大急ぎでガジュマルへと逃げ出しました

「いままででそれが一番ちむどぅんどぅん(心臓ドキドキ)したことさあ」とギムは照れ笑いながら話してくれました

それからは犬がつながれているかちゃんと確かめてから村に行くことにしました

ギムは牛の背中に乗って遊んだり、たまには後ろから押してあげたりもしました

村のおばあちゃんが重い荷物をかついでいるときは、持ち上げたりもしました

すると人にはすこしだけ軽くなったような気がするそうです

皆さんも重い荷物を持っているときに、ふいに軽く感じたら、それはキジムナーがお手伝いしているからかもしれません

ほかのキジムナーたちは人の村にはこようとはしません

仲間と遊ぶのが楽しく、人には自分たちの姿が見えないのでおもしろくないのでしょう

ギムがいつものように人間の子供達にまじって村中を笑いながら走っていると、一軒の民家から聞いたことない大きな音がしました

ギムは屋根裏に登ってなかを覗いてみると、小さな人間がお湯に浸かって泣いていました

あとからわかったのですが、人の赤ちゃんで、見るのはその時がはじめてでした

ギムはかわいい赤ちゃんが好きになり、たびたび様子を見に行き、小さなお鼻をつんつんしたり、べろべろばあをしてみせました

するとその子はべろべろばあをしているギムの姿が見えるようで、ケラケラと笑ったり、手を伸ばしたりしていました

その子の親は、誰もいないのに赤ちゃんが笑ったりするものですから不思議そうにしていました

赤ちゃんがはいはいしだしたころに病気になり熱をだしてぐったりしていました

その頃は病院などないため子供で亡くなることが多かったそうです

ギムは葉っぱをつんできては、その子の寝ているところに置いていきました

ギムに言わせると病気は悪い気がついたもので、葉っぱはその気を吸い取ってくれるのだそうです

親達は風も無いのに木の葉が部屋に舞い込むのを不思議におもっていました

そうこうしているうちに赤ちゃんは元気を取り戻しました

その子は立って歩けるようになり、言葉もしゃべれるようになりました

女の子で親はキヌとその子を呼んでいます

キヌちゃんはしゃべれるようになってもギムの姿が見えましたので、お家に行っては、おしゃべりしたり、おままごとを一緒にしたりして遊んでいました

ですが、親達は誰もいないところに向かって話したりしているキヌのようすを見て不安になって、そんなことをしてはいけないよと教えましたので、ギムもだんだん人の村には近づかなくなってきました

それでもキヌがガジュマルの森にくるとギムは姿をあらわしてお話ししました

キヌはいろんな事を話してくれます

ときにはわんぱくな男の子にいじめられて泣いているのをなぐさめたりします

そういうときにはギムは、葉っぱで作った飾りをプレゼントしたりしました

月日がたって、キヌは同じ村の働き者の若者と結婚しました

その頃にはキジムナーの声も聞こえなくなったようです

やがて、キヌにも元気な子供が生まれました

ときおりギムが遊びにいって赤ちゃんを笑わせても、キヌは赤ちゃんが誰もいないのに笑っていても気にしません

子供がすこし大きくなって言葉がしゃべれるようになると小さな頃にキジムナーと遊んだことを話して聞かせました

その子も大人になり、隣の村へ嫁にいき、子供を連れてときおりキヌのもとに訪ねてきます

次に生まれた息子は嫁さんをとって、一緒に暮らしながら仕事の手伝いをしています

やがて旦那さんが先に亡くなり、キヌはだんだん足腰が弱くなって、元気に畑仕事をしていましたが、家で着物をおったりするくらいになりました

それから何度かの秋が巡ってきて、キヌは寝たきりになっていました

ギムは人間があっという間に成長しては亡くなることを知っています

そしてギムから見たらつかの間の時のうちに、泣いたり、笑ったり、怒ったり、喜んだり、体験していろんな事を思う人間が好きでした

キヌの体が弱まって、子供達が横になっているキヌのまわりに集まっていました

ギムも縁側でようすをうかがっていました

もう木の葉では治らないのは知っていましたが、すこしでも楽になるように持ってきました

話しもできなくなったキヌが、ふぅっと息を吐いてそのまま動かなくなると、集まっていた子供達はいっせいに泣き出しました

ギムが見ていると、キヌの身体からすうっと白いけむりのようなもうひとりのキヌが出てきて、ギムに気づくとかるく微笑み、子供達の頭の上を白い球になってくるくるとまわっています

子供達はいっこうに気づかないでいて、何度もまわったあとに天井へと吸い込まれるように登って消えました

物知りの長老(といっても格好は子供なのですが)に聞いてみると、キヌはお空に帰ってまた百年後に別な国に生まれ変わるのだと教えてもらったのです

ギムは彼女との思い出を今でも懐かしく覚えていて私に嬉しそうに聞かせてくれました

その頃の森の仲間たちは、今では伐採されてほとんどいなくなってしまった、とすこし悲しげに言いました

ギムは私が小学校に通っていた時も高いガジュマルの木の枝に座って見ていて、たまに小学校にはいってきては子供たちと一緒に砂遊びしたり、かけっこしたり、授業のようすを窓からながめたりしていたのだそうです

話し終えるとギムはバイバイしながら姿を消しました

また聞ける機会がありましたら、ギムの話しを紹介したいと思います

空想の生き物が話しをするなんておかしいと思われるかもしれません

ですが、目を閉じて木のそばに立っていると、どうしてもそんなことが本当にあったように思えてなりません

キジムナーが葉っぱで作った小舟で川を渡ったり、葉っぱの手紙を出したり、ガジュマルの高い枝に腰掛けて人間のようすをながめている気がするのです

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スピリチュアルブロガー・作家の洪正幸です。🌟「私がなぜスピリチュアルの世界へ導かれたのか――驚きの体験と魂の気づきを綴った自己紹介は以下からご覧いただけます。」 ▶️[プロフィールと魂の物語を読む]

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