幸せに気づくことから始まる|すでにある豊かさを思い出す方法

2021年3月22日月曜日

幸福

私たちは「もっと幸せになりたい」と願いながら、すでに手にしている幸せを通り過ぎてしまっていることがあります。

遠くにある何かを追いかけている間に、今ここに息づいている豊かさを見落としてしまう。

そんな状態のままでは、たとえどれほど多くのものを手に入れても、心の渇きは満たされていきません。

今回は、「幸せはどこから始まるのか」という問いを、ふだんとは少し違う角度からていねいに見つめ直してみたいと思います。

数億円より価値のあるもの

突然ですが、ひとつだけ想像してみてください。

もしも宝くじで数億円が当たったとしたら、それは多くの人にとって大きな喜びでしょう。

その代わりに、あなたの視力か聴力のどちらかを差し出さなければならないと言われたら、あなたはその取引を受け入れるでしょうか。

おそらく、ほとんどの方が「それなら結構です」と首を振るはずです。

つまり私たちは、数億円と引き換えにしてもなお手放したくないものを、すでに今この瞬間に持っているということになります。

身体は計り知れない宝物

あなたが当たり前のように使っている目や耳、手や足、呼吸や心臓の鼓動。

そのどれもが、お金には換算できないほどの価値を持って、毎日働き続けてくれています。

夜眠っている間も、心臓は休まずに脈を打ち、肺は呼吸を続けてくれます。

誰かに命じられたわけでもないのに、ただ静かにあなたを生かしてくれているのです。

そう考えると、自分の身体そのものが、すでに途方もない宝物のような存在だと感じられてきます。

当たり前の中に隠れている幸せ

毎朝吸い込める空気があります。

蛇口をひねれば、飲める水が出てきます。

お腹を満たす食べ物があり、雨風をしのげる屋根があります。

このどれか一つでも欠けてしまえば、私たちは今日という日を生き抜くことができません。

それほど大切なものを、何の請求書もなしに私たちは毎日受け取っているのです。

けれども、人は手にしているものほど早く慣れてしまい、ありがたさを忘れてしまうという性質を持っています。

そうして、すでに与えられている幸せに気づかないまま、足りないものばかりを数えて不平を口にしてしまうのです。

失ってからでは遅いものたち

体調を崩して初めて、健康のありがたさが身に染みます。

家族とけんかをして初めて、何でもない会話の温かさを思い出します。

仕事を失って初めて、毎朝出かける場所があることの安心感に気づかされます。

このように私たちは、いつも何かを失った後で、それがどれほど大きな幸せだったかをようやく理解するのです。

しかし、本当はその出来事を経験する前から、その幸せはずっとそこにあったはずなのです。

気づくほどに増えていく幸福

面白いことに、幸せは「気づかれた分だけ」育っていく性質を持っています。

同じ朝食を食べていても、当たり前だと思って黙々と口に運ぶ人と、「今日も食べられて嬉しい」と心の中でつぶやく人とでは、味も、満足感も、その後の一日の色合いも変わってきます。

幸せの総量は外側から計られるものではなく、私たち自身の感受性の深さによって決まるのです。

だからこそ、毎日少しずつでも、今ある幸せを数える時間を持ってみてほしいのです。

大げさな出来事である必要はありません。

今日も目が覚めたこと。温かい飲み物が手元にあること。誰かが「おかえり」と言ってくれること。

そういう、ささやかで確かなものを一つひとつ拾い上げていくと、心の中の幸せは静かに、しかし確実に増えていきます。

魂の視点から見た「足るを知る」

霊的な視点から見ると、私たちは肉体を持ってこの世に生まれてくる前から、すでに豊かな存在でした。

そして、肉体という限られた器に入り込むことを、自ら選んで地上に降りてきたとも言われています。

魂にとってこの世での時間は、永遠の旅路のほんの一区切りです。

その短い滞在期間に、目で見て、耳で聞いて、誰かと触れ合う体験ができること。

それ自体が、向こう側から見ればまばゆいほどの恵みなのです。

「足るを知る」という言葉は、欲を諦めることではありません。

今すでに与えられている豊かさの大きさを、もう一度きちんと見直し、その上に新たな歩みを重ねていくということです。

すでにある幸せの土台にしっかりと立てるようになると、これから先に願うものも、自然と魂にふさわしい形へと整っていきます。

幸せはいつもあなたのそばにいる

遠くにあるものに手を伸ばす気持ちは、決して悪いことではありません。

夢を描き、目標に向かって歩むことは、魂が成長していくうえで大切なエネルギーになります。

ただ、その歩みを支える根っこの部分には、「今すでに与えられているもの」への感謝が静かに息づいていてほしいのです。

幸せは、どこか遠くの未来や、まだ手にしていない何かの中にだけ眠っているのではありません。

今日のあなたの呼吸の中に、ふと差し込む朝の光の中に、誰かと交わしたほんの短い会話の中に、いつでも姿を見せています。

足りないものばかりを数えていた指で、今日はそっと、すでにあるものを数え直してみてください。

その時きっと、幸せは「これからやって来るもの」ではなく、「ずっとそばにいてくれたもの」だったと気づけるはずです。

そこから、本当の意味での幸福の歩みが、静かに始まっていきます。

気づきから始まる幸福の育て方は、幸福完全ガイドの章でもう少しゆっくり並べました。

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