熱田神宮と三島由紀夫の縁を感じるとき
ある場所に立つと、なぜか胸がざわつく。行ったこともない土地の名前を聞いただけで、説明のつかない懐かしさがこみあげてくる。
そんな経験をしたことのある方は、少なくないのではないでしょうか。
読者の方からのアンケートで、作家の三島由紀夫さんと熱田神宮の縁について質問をいただきました。
熱田神宮と三島由紀夫。
一見すると結びつきにくいこの二つを並べたとき、私の心にひとつの光景が浮かびました。
それは、はるか昔の時代に生きた魂と、ひとふりの剣との縁です。
この記事では、熱田神宮と草薙剣の背景をたどりながら、三島さんの過去世に感じられる縁について、歴史と霊的視点の両面から書いてみたいと思います。
草薙剣を祀る熱田神宮という場所
熱田神宮(あつたじんぐう)は、愛知県名古屋市熱田区にある神社です。三種の神器のひとつである草薙剣を祀る神社として知られています。
私自身は熱田神宮に参拝した経験がないので、その境内の空気や歴史の細部について詳しく語ることはできません。
ただ、文字や写真を通して感じられるものはあります。
草薙剣には、日本の神話のなかでも特別な物語が重ねられてきました。
もともとは素戔嗚尊が八岐大蛇を退治したとき、その尾から現れたと伝えられる剣です。
のちに天叢雲剣とも呼ばれ、日本武尊が東征の折に草を薙ぎ払って難を逃れたことから、草薙剣の名がついたとされます。
そうした神話の積み重ねを経て、この剣は熱田の地に鎮まりました。
長い歳月のあいだ、人々はこの社を訪れ、祈りを捧げ、剣にこめられた物語を語り継いできたのです。
熱田神宮は、ただ古いだけの建物ではありません。
何百年、何千年という時間のなかで、無数の魂の祈りが沈殿してきた場所だと、私は感じています。
三種の神器と皇統の物語
草薙剣と八咫鏡、八尺瓊勾玉は、合わせて三種の神器と呼ばれます。これらは瓊瓊杵尊が天孫降臨のとき、天照大神から授けられたとされるものです。
剣は武の力を、鏡は正直であることを、勾玉は慈しみの心を象徴すると古くから伝えられてきました。
そして三種の神器は、皇統の正当性を表すものでもあると私は受けとめています。
天から授かった器物を受け継ぐということは、単に物を所有することではありません。
それは、天とのつながりを引き受け、人々のために生きるという責任を背負うことを意味していたのでしょう。
そのうちのひとつ、草薙剣がいまも熱田神宮に祀られているわけです。
ここで思い出されるのが、孔子が『論語』で語った言葉です。
孔子は、自分は古を信じてこれを愛する者だと述べ、過ぎ去った時代の知恵を尊んで生きました。
過去は単に終わったものではなく、いまを生きる私たちのなかに流れ続けている。
そういう感覚は、洋の東西を問わず、深い精神を持つ人々に共有されてきたものだと思います。
過去世の縁という考え方
では、なぜ熱田神宮から三島由紀夫さんを感じることがあるのでしょうか。ここから先は、私が霊的な視点から感じ取ったことになります。
断定できることではありませんが、感じられるのは、三島さんの過去世での縁が、草薙剣と関係していたのではないかということです。
魂は一度きりの人生で終わるものではなく、何度も生まれ変わりを重ねながら学んでいくと私は考えています。
そのなかで、ある魂は特定の土地や器物と、強い縁を結ぶことがあります。
三島さんには、この三種の神器を授かったことのある過去世があったのではないか。
つまり古代における天皇家の先祖として生まれ合わせていた時代があったのではないかと感じられるのです。
もしそうであるなら、剣にこめられた物語、その重さ、その清らかさを、魂の深いところで覚えているはずです。
それが、熱田神宮という場所に三島由紀夫を感じられる理由ではないかと思われます。
たとえるなら、幼いころに住んだ家を大人になって訪れたときの感覚に似ているかもしれません。
間取りも壁の色もはっきりとは思い出せないのに、玄関に立った瞬間、体のほうが先に懐かしさを覚えている。
魂が刻んだ記憶も、そのようにして、ふとした場所でよみがえってくるのだと思います。
聖なる場所が魂に問いかけるもの
過去世の縁を聞くと、それを特別な人だけの話のように感じる方もいるでしょう。けれども、ある場所に強く惹かれる、ある時代の物語に涙が出る、そうした小さな反応は誰のなかにも起きています。
それは、あなたの魂が長い旅路で結んできた縁のかすかな痕跡なのかもしれません。
聖なる場所は、私たちにこう問いかけてきます。
あなたは何を大切にして、これまで生きてきましたか。
その問いに耳をすませることが、過去世を知ること以上に、いまのあなたの成長につながっていくのだと思います。
今日からできること
過去世の縁を、日々の暮らしのなかで感じ取り、自分の魂を育てていくために、いくつかの行いを挙げてみます。一つ目は、惹かれる土地や物語を書きとめることです。 理由はわからなくても心が動いた対象を、ノートに記しておきます。やがてそこに、ひとつの流れが見えてくることがあります。
二つ目は、近くの神社や聖地に静けさを求めて足を運ぶことです。 観光ではなく祈りの気持ちで立つと、場所が伝えてくるものが変わってきます。
三つ目は、神話や古い物語を一冊、ていねいに読むことです。 草薙剣の伝説のような物語には、魂が共鳴する何かが眠っています。
四つ目は、ご先祖に手を合わせることです。 自分という存在が長い縁の先にあると思い出すだけで、生き方の姿勢が整っていきます。
五つ目は、いまの自分が何を守り、何を伝えたいのかを言葉にしてみることです。 三種の神器が責任の象徴であったように、あなたにも受け継ぎ、手渡すものがあるはずです。
魂の縁を信じて
熱田神宮と三島由紀夫の縁について、私が感じたことを書いてきました。行ったことのない場所であり、断定できることは多くありません。
それでも、ひとつの剣をめぐって、時代を超えて結ばれた魂の縁があるのではないかと、私には思えてなりません。
あなたの魂もまた、長い旅のなかで多くの縁を結び、いまここに立っています。
その縁の糸を信じて、心の惹かれるほうへ歩んでいってください。
過去に結んだ縁は消えることなく、これからのあなたの成長を、やさしく支えてくれるはずです。
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